概要

半導体デバイスは、機器の性能を左右するチップを供給する市場セグメントです。設計から製造まで自社で持つ垂直統合型(IDM)、設計に特化するファブレス、製造を受託するファウンドリという分業が進み、どこで利益を得るかは企業によって大きく異なります。日本企業はイメージセンサー、パワー半導体、マイコン、メモリなど特定の分野に強みを持ち、主な顧客は自動車・産業機器・スマートフォンのメーカーです。生成AI向けの計算需要が市場の成長を引っ張る一方、得意分野ごとの需要の波に業績が左右されやすい構造です。

含むもの

  • ロジック・メモリ・パワー・アナログ・イメージセンサーなどの半導体メーカー
  • 設計に特化するファブレス企業と、製造を受託するファウンドリ

含まないもの

  • 製造装置・材料(半導体テーマの各領域で扱う)
  • コンデンサなどの受動部品(電子部品で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    設計に特化するファブレス

    チップの設計と販売に集中し、製造はファウンドリに委託する。データセンターや通信向けの先端品が中心。

    NVIDIA、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、ブロードコム

  2. 02

    製造まで自社で持つメーカー(IDM)

    設計から製造まで自社で持つ。日本企業はイメージセンサー、マイコン、パワー半導体、メモリなど得意分野に絞り込んでいる。

    インテル、サムスン電子、ソニーグループ、ルネサスエレクトロニクス、ローム、キオクシアホールディングス

  3. 03

    製造を受託するファウンドリ

    顧客の設計に基づいてチップを製造する。先端の微細加工への巨額の投資を続けられる企業は限られる。

    台湾積体電路製造(TSMC)、Rapidus

同じ半導体メーカーでも、ファブレス・IDM・ファウンドリで投資の重さと利益の出方が異なる。日本企業の多くは得意分野に特化したIDMで、顧客の産業の景気に業績が連動しやすい。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01機器メーカーの設計・調達の担当者

    チップ単体ではなく、採用後の支援で選ばれる

    背景

    車載・産業機器向けの半導体は、一度採用されると長く使われる。採用の判断には、設計の支援や長期の供給の約束が影響する。

    想定される課題

    性能の数値だけを並べても、他社との違いが伝わりにくい。供給の継続や開発の支援といった、採用後の価値が見えにくい。

    視点

    参照設計やソフトウェア、長期供給の方針など、顧客の開発の負担を減らす仕組みを具体的に示す。用途ごとの導入事例で、採用後の姿を見せる。

  2. 02投資家

    市況の波と、成長の筋道を両立させて語る

    背景

    メモリやスマートフォン向けなど、需要の波が大きい分野がある。生成AI向けの需要は伸びているが、恩恵を受ける品目は限られる。

    想定される課題

    業績の振れが大きいと、長期の成長の道筋が信じてもらいにくい。AIとの関係が見えない企業は、評価の対象から外れやすい。

    視点

    どの用途の、どの需要に結びつくかを分解して示す。設備投資の時期と回収の考え方を、市況の局面ごとに説明する。

  3. 03採用候補者(半導体の設計・製造の技術者)

    工場の新設で、人材の取り合いが強まる

    背景

    国内では半導体の工場の新設・増設が相次ぎ、設計・製造の技術者の需要が高まっている。

    想定される課題

    半導体の仕事は専門性が高く、学生や他業界の技術者には中身が想像しにくい。知名度の高い完成品のメーカーに人材が流れやすい。

    視点

    チップが使われる製品と社会への影響から、仕事の意味を伝える。工場の立地での暮らしや育成の仕組みを、地域とあわせて示す。

  4. 04工場の立地する地域の住民・自治体

    工場の立地で、地域との関係が問われる

    背景

    半導体工場の建設には、国の補助金や自治体の支援が投じられている。工場は水や電力を多く使い、周辺の交通や住宅にも影響する。

    想定される課題

    公的な支援を受けるほど、地域や社会への還元が問われる。環境への影響の説明が不足すると、反発を招きやすい。

    視点

    雇用、地元企業との取引、水や電力の使い方を、数字で継続して開示する。地域の学校や企業との連携を、長期の約束として示す。

競合・提携・出資の関係

この市場セグメントの用語

IDM
Integrated Device Manufacturer。半導体の設計から製造までを自社で行うメーカー。
ファブレス
工場(ファブ)を持たず、半導体の設計と販売に特化する企業。
ファウンドリ
他社が設計した半導体の製造を受託する企業。
イメージセンサー
光を電気信号に変えて画像をつくる半導体。スマートフォンのカメラや車の周辺の監視に使われる。
デザインイン
機器メーカーの製品の設計段階で、自社の部品を採用してもらうこと。

出典

  1. The Engines of American-Made Intelligence: NVIDIA and TSMC Celebrate First NVIDIA Blackwell Wafer Produced in the US(新しいタブで開きます) NVIDIA公式サイト公開日 2025.10.17
  2. Advanced Micro Devices, Inc. Form 10-K (fiscal year ended December 27, 2025)(新しいタブで開きます) Advanced Micro Devices, Inc. (SEC EDGAR)有価証券報告書(二次情報)公開日 2026.02.03
  3. Advanced Micro Devices, Inc. Form 10-K (fiscal year ended December 27, 2025)(新しいタブで開きます) Advanced Micro Devices, Inc. (SEC EDGAR)有価証券報告書(二次情報)公開日 2026.02.03
  4. NVIDIA and Intel to Develop AI Infrastructure and Personal Computing Products(新しいタブで開きます) NVIDIAプレスリリース公開日 2025.09.18
  5. GLOBALFOUNDRIES Inc. - Form 20-F (FY2024)(新しいタブで開きます) GlobalFoundries / U.S. SEC有価証券報告書(二次情報)
  6. Advanced Micro Devices, Inc. Form 10-K (fiscal year ended December 27, 2025)(新しいタブで開きます) AMD / U.S. SEC有価証券報告書