概要
電子部品は、スマートフォンや自動車、サーバーの中で使われる小さな部品を供給する市場セグメントです。積層セラミックコンデンサ(MLCC)や小型モーターなど、日本企業が世界で高いシェアを持つ品目が多く、材料と製造の技術の積み重ねが強みになっています。顧客は世界の機器メーカーで、スマートフォンの台数や自動車の電動化、データセンターへの投資に需要が左右されます。AIサーバーで部品の使用量が増えるなか、国内の大手同士が共同開発で手を組む動きも出ています。
含むもの
- コンデンサ・インダクタなどの受動部品
- センサー・スイッチ・モーターなどの電子・機構部品
- 半導体を載せるパッケージ基板
含まないもの
- 半導体チップ(半導体デバイスで扱う)
- 電池(GXテーマの蓄電池で扱う)
構造と主要企業
-
01
受動部品
電気をためる・流れを整えるコンデンサやインダクタなどをつくる。1台の機器に多数使われ、小型化と信頼性で競う。
-
02
モーター・機構部品
小型から大型までのモーターや、ベアリングなどをつくる。家電から車、データセンターの冷却まで用途が広い。
-
03
センサー・電子モジュール
スイッチ、センサー、通信モジュールなど、機能をまとめた部品をつくる。車載向けの比重が高い企業が多い。
-
04
半導体のパッケージ基板
半導体チップを載せて機器の基板とつなぐ基板をつくる。AI向けの大型チップで需要が伸びている。
コミュニケーションの課題と視点
この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。
-
01世界の機器メーカーの設計者・調達担当
部品の違いを、顧客の製品の価値として語る
背景
部品は顧客の製品の中に隠れ、生活者の目に触れない。採用は性能・品質・供給の安定で決まる。
想定される課題
型番や数値の比較になりやすく、価格の競争に巻き込まれる。海外の新しい顧客には、技術の蓄積が伝わりにくい。
視点
部品の採用で、顧客の製品がどれだけ小さく、省電力になったかを示す。技術資料や設計支援のツールを入口に、技術者との接点を増やす。
-
02投資家
スマートフォン頼みという見方を、用途の広がりで塗り替える
背景
電子部品の需要は、長くスマートフォンの台数に連動して語られてきた。いまは車の電動化や、AIサーバー向けの需要が増えている。
想定される課題
用途の構成の変化が伝わらないと、スマートフォンの市況だけで評価される。
視点
用途別の売上と、機器1台あたりの部品の使用量の変化を継続して示す。AI・車載向けの採用の見通しを、時期とともに語る。
-
03採用候補者(材料・生産技術の技術者)
見えない部品の仕事の面白さを伝える
背景
部品メーカーは生活者向けの製品を持たず、学生の認知が限られる。地方に主要な工場や開発拠点を持つ企業が多い。
想定される課題
知名度で完成品のメーカーに後れを取り、仕事の中身が想像されにくい。
視点
身近な製品の中で部品が果たす役割から説明する。世界のシェアや、材料から一貫して手がける技術の深さを、技術者自身の言葉で見せる。
-
04共同開発の相手・顧客・取引先
協業と競争の線引きを示す
背景
AIサーバー向けの需要の急増を受け、国内の大手が共同開発や調達で連携を検討する例が出ている。先端の電子部品は、国が安定供給を支援する物資にも指定されている。
想定される課題
協業の目的と範囲が曖昧だと、顧客や取引先が供給や価格への影響を心配する。
視点
協業で何を共同で行い、どこは独自に競うのかを明確にする。安定供給の強化という意義を、顧客への約束として説明する。
競合・提携・出資の関係
この市場セグメントの用語
- MLCC
- 積層セラミックコンデンサ。電気を一時的にためて回路を安定させる小さな部品で、スマートフォンやサーバーに大量に使われる。
- 受動部品
- 自ら増幅や演算をせず、電気をためる・流れを整えるなどの働きをする部品。コンデンサ、インダクタ、抵抗など。
- インダクタ
- 電流の変化を抑え、電源を安定させる部品。コイルとも呼ばれる。
- パッケージ基板
- 半導体チップを載せて、機器のプリント基板とつなぐための基板。
- 特定重要物資
- 経済安全保障推進法で、国が安定供給の確保を支援する物資。先端の電子部品も含まれる。