概要

水処理は、工場で使う水や排水、上下水道の水をきれいにし、再利用するための設備・薬品・運営を提供する市場セグメントです。産業向けでは、半導体工場に欠かせない超純水(不純物を極限まで取り除いた水)の装置と運営で日本企業が強みを持ち、装置の販売から、水の供給をサービスとして請け負う契約へと事業の形が広がってきました。上下水道では、設備の老朽化と自治体の職員不足を背景に、施設の運営を民間が長期で担う方式が広がり、国内外の企業が組んで受託しています。いま、半導体工場の新設と、上下水道の更新・運営の民間委託が、この市場の成長を引っぱっています。

含むもの

  • 工場向けの水処理装置・水処理薬品・超純水
  • 上下水道の処理施設の設備と、運転・維持管理
  • 排水の再利用と汚泥の処理

含まないもの

  • 水道管などの配管の工事(建設・不動産で扱う)
  • 飲料水の販売(食品・飲料で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    産業向けの水処理

    工場の用水・排水を処理する装置と薬品、半導体工場向けの超純水を提供する。

    栗田工業、オルガノ

  2. 02

    上下水道の設備と運営

    自治体の浄水場・下水処理場の設備をつくり、運転や維持管理を長期で請け負う。

    メタウォーター、月島ホールディングス、ヴェオリア、JFEエンジニアリング

産業向けは顧客の工場の新設、上下水道は自治体の発注と制度の変化で需要が決まる。上下水道の運営では、国内のメーカーと海外の運営の大手が組む形が多い。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01半導体・電子部品の工場(設備・調達の部門)

    水を「装置」ではなく「供給の約束」として選んでもらう

    背景

    半導体工場では大量の超純水が必要で、水の量と質が生産の安定を左右する。

    想定される課題

    装置の価格で比べられると、運転の実績や、水の再利用による節水とコストの削減といった価値が伝わりにくい。

    視点

    稼働の実績と水の再利用率を示し、工場の立ち上げから運転までを担う長期の契約の価値を訴える。

  2. 02自治体(上下水道の担当部署)

    民間に任せることへの不安を解く

    背景

    上下水道は設備の老朽化と職員不足が進み、運営を民間に長期で任せる方式の導入が進む。

    想定される課題

    料金の上昇や災害時の対応、公共の責任があいまいになることへの住民・議会の不安が、導入の壁になる。

    視点

    先行する自治体での運営の実績と、災害時の対応、行政との責任の分担を具体的に示す。

  3. 03地域の住民

    見えないインフラの価値

    背景

    浄水場や下水処理場の仕事は、日常では目に触れない。

    想定される課題

    水道料金の改定や設備の更新の必要性が理解されにくい。

    視点

    施設の老朽化の状況と更新の必要性を分かりやすく伝え、水を支える仕事を見える形で発信する。

  4. 04採用候補者(技術者)

    「水」の仕事の広がりが伝わらない

    背景

    水処理の会社は、化学・機械・電気・データ分析など幅広い技術者を必要とする。

    想定される課題

    一般の認知度が低く、半導体工場やインフラの最前線で働けることが学生に伝わらない。

    視点

    半導体工場や海外のインフラなど、具体的な現場と技術の組み合わせを見せる。

競合・提携・出資の関係

  • 提携3件
    • メタウォーター⇄ヴェオリア

      宮城県の上工下水の運営で協業[2]

      宮城県の上工下水一体の運営事業で、運営権者の議決権の過半をメタウォーターが持ち、維持管理を担う会社にはヴェオリア・ジェネッツとメタウォーターが出資している。

    • 月島ホールディングス⇄JFEエンジニアリング

      上下水道プラントの合弁[3]

      月島JFEアクアソリューションは、月島ホールディングスが60%、JFEエンジニアリングが40%を出資する上下水道プラントの会社で、JFEエンジニアリングの国内の水の事業を統合して発足した。

    • ヴェオリア⇄JFEエンジニアリング

      浜松市の下水道運営で協業[4]

      浜松市の下水道コンセッションの運営権者は、ヴェオリアのグループ会社とJFEエンジニアリングなどが設立した特別目的会社である。

  • グループ1件
    • 東ソー→オルガノ

      親会社(議決権の約44%)[1]

      東ソーはオルガノの議決権の約44%を持つ親会社で、両社の間には水処理薬品の原料の仕入れや装置・薬品の販売の取引がある。

この市場セグメントの用語

超純水
不純物を極限まで取り除いた水。半導体の製造で、ウエハーの洗浄などに大量に使う。
水処理薬品
配管の腐食や汚れを防いだり、排水の汚れを固めて取り除いたりするために使う薬品。
コンセッション方式
施設の所有は自治体に残したまま、運営する権利を民間に長期で売却する方式。
DBO方式
施設の設計(Design)・建設(Build)・運営(Operate)を、一つの民間の事業者にまとめて任せる方式。
汚泥
下水や排水の処理で出る泥状のもの。燃料や肥料として利用する取り組みがある。

出典

  1. 支配株主等に関する事項について(新しいタブで開きます) オルガノその他公開日 2024.05.13
  2. みやぎ型管理運営方式における契約関係(参考資料)(新しいタブで開きます) 宮城県その他
  3. 会社概要/沿革(新しいタブで開きます) 月島JFEアクアソリューション公式サイト
  4. 下水道コンセッション事業の事例①(浜松市西遠処理区)(新しいタブで開きます) 国土交通省その他