概要

出版・ニュースは、マンガや小説、雑誌、新聞などのコンテンツをつくる市場セグメントです。紙の雑誌と新聞の部数は長く減り続けていますが、マンガは電子書籍とアプリで伸び、アニメ化や海外での人気を通じて、出版社はIPの源流としての存在感を高めています。大手の出版社の多くは非上場で、作家と編集者の関係を軸に作品を生み出してきました。ニュースでは電子版の有料会員の獲得が課題となり、生成AIによる記事の利用をめぐる権利の問題も浮上しています。

含むもの

  • マンガ・書籍・雑誌の出版社
  • 新聞社・ニュースメディアと電子版
  • 出版物の印刷と、電子書籍・書店などの流通

含まないもの

  • アニメの制作(映画・アニメ・キャラクターで扱う)
  • 放送局のニュース番組(放送・映像配信で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    マンガ・総合出版社

    マンガ・小説・雑誌を出版し、作品のアニメ化・ゲーム化・商品化の窓口も担う。

    集英社、講談社、小学館、KADOKAWA

  2. 02

    新聞・ニュースメディア

    取材と編集で記事をつくり、紙と電子版の購読料と広告で稼ぐ。

    日本経済新聞社

  3. 03

    印刷・出版の周辺事業

    出版物の印刷に加え、電子書籍の流通や書店など、出版の周辺の事業を手がける。

    大日本印刷、TOPPANホールディングス

出版社は、雑誌やアプリで作家を育て、作品を映像やゲームに広げる起点になっている。紙から電子への移行で、編集の力を持つ出版社と、印刷・流通を担う企業の役割が分かれつつある。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01読者(国内・海外)

    紙から電子へ、海外へと、読者との接点を広げる

    背景

    マンガの販売は電子が紙を上回り、海外では翻訳版と公式のアプリでの配信が広がっている。海賊版のサイトもなくなっていない。

    想定される課題

    読者が作品に出会う場が分散し、出版社の名前が意識されにくい。海賊版の利用が正規の収益を損なう。

    視点

    公式の配信アプリや翻訳の速さで、正規の版で読む利点を示す。作品と作家を前に出し、出版社はそれを支える存在として語る。

  2. 02作家・クリエイター

    作家に選ばれる出版社であり続ける

    背景

    個人がSNSや投稿サイトで作品を発表し、出版社を通さずに読者を得られるようになった。

    想定される課題

    編集者の役割や出版社と組む利点が伝わらないと、才能のある作家が集まらない。

    視点

    作品の企画から海外展開、映像化までを支える体制と実績を示す。権利の扱いと収益の配分を分かりやすく説明する。

  3. 03ニュースの読者・社会

    ニュースの信頼と、AIによる記事の利用

    背景

    生成AIが報道機関の記事を学習や回答に使う動きが広がり、権利の扱いが議論されている。SNSでは真偽の不確かな情報も拡散している。

    想定される課題

    記事が出典を示されずに使われると、取材の価値が見えにくくなる。報道への信頼も問われる。

    視点

    取材と検証の過程を開示し、信頼できる情報の価値を示す。AI事業者との利用の条件を明確にし、ルールづくりの議論に加わる。

  4. 04投資家・事業パートナー

    IPの価値を、事業の数字で示す

    背景

    上場する出版社は、作品を映像・ゲーム・商品に広げる事業を成長の柱に掲げている。

    想定される課題

    IPからの収益は作品の当たり外れに左右され、安定性が評価されにくい。

    視点

    保有するIPの数、映像化の件数、海外の売上の比率など、IPの事業の広がりを継続して開示する。

競合・提携・出資の関係

  • 出資1件
    • ソニーグループ→KADOKAWA

      筆頭株主・資本業務提携[1]

      ソニーはKADOKAWAとの資本業務提携で新株を約500億円で取得し、約10%を持つ筆頭株主になった。両社は作品の実写化やアニメの共同制作、海外への流通などでの協業を検討する。

この市場セグメントの用語

IP
Intellectual Property(知的財産)。エンタメでは、作品やキャラクターと、その権利を指すことが多い。
メディアミックス
一つの作品を、マンガ・アニメ・ゲーム・映画・商品など複数の形で展開すること。
マンガアプリ
マンガをスマートフォンで読むためのアプリ。話ごとの課金や広告で稼ぐ。
海賊版
権利者の許可なく、作品をインターネットなどで配信・販売するもの。
再販制度
出版社が書籍・雑誌の小売価格を決め、書店に定価での販売を求められる制度。

出典

  1. KADOKAWA and Sony Agree to Form Strategic Capital and Business Alliance(新しいタブで開きます) KADOKAWA・ソニーグループプレスリリース公開日 2024.12.19