概要
医療用医薬品は、医師が処方する薬を研究・開発し、承認を得て販売する市場セグメントです。一つの新薬に十年以上の歳月と多額の費用がかかり、特許が切れると後発品に売上を奪われるため、次の新薬を生み続けることが事業の前提になっています。日本では国が薬の価格(薬価)を定期的に引き下げるため、国内大手は米国を中心とする海外での売上を伸ばし、海外の大手製薬と共同で開発・販売する提携や、海外大手の傘下に入る形も見られます。抗体医薬や抗体薬物複合体(ADC)など、新しい種類の薬で成果を出せるかが各社の評価を分けています。
含むもの
- 新薬を研究開発する製薬会社
- 製薬会社と資本・提携で結びつく海外の大手製薬
- 医薬の事業を持つ食品・飲料のグループ
含まないもの
- 臨床試験や製造の受託(創薬支援・受託で扱う)
- 医療機器(医療機器で扱う)
- 薬局・ドラッグストア
構造と主要企業
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01
研究開発型の国内大手
自社で新薬を研究開発し、日本と海外で販売する。がん・神経・感染症など、得意な領域に資源を集中させる。
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02
海外大手と資本・提携で結びつく
海外の大手製薬の傘下に入る、または有力な新薬を海外の大手と共同で開発・販売する。研究の強みと世界の販売網を組み合わせる。
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03
食品・飲料グループの医薬事業
発酵やバイオの技術を起点に、食品・飲料のグループが医薬の事業を持つ。日本に特徴的な形。
コミュニケーションの課題と視点
この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。
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01機関投資家・個人投資家
一つの新薬への依存を、どう説明するか
背景
主力の新薬の特許が切れると、後発品の参入で売上が急に減る。次の新薬の開発は成功の確率が低く、結果が出るまで時間がかかる。
想定される課題
主力品の売上が大きいほど、特許切れの後の空白が懸念され、株価が開発の成否に大きく振れやすい。
視点
開発中の候補(パイプライン)を、段階・時期・対象の患者数で見える形にし、特許切れを埋める道筋を数字で示す。
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02海外の大手製薬・バイオベンチャー
選ばれる提携先になる
背景
有力な新薬の候補を巡り、世界の製薬会社が共同開発や導入の権利を取り合っている。
想定される課題
日本の製薬会社は、研究の強みや提携の実績が海外の相手に十分に知られていないことがある。
視点
得意な技術と過去の提携の成果を、英語で具体的に発信する。提携を経営の柱として語り、相手にとっての利点を示す。
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03医師・医療機関
薬の情報の伝え方が変わる
背景
医薬情報担当者(MR)の訪問は減り、医師はウェブ講演会や医療者向けサイトで情報を得るようになっている。
想定される課題
訪問を前提にした情報提供では、医師に届く量と質を保ちにくい。会社の違いも伝わりにくくなる。
視点
デジタルと対面を組み合わせ、医師の関心に合わせて科学的な根拠を届ける。製品の宣伝ではなく、治療の質に役立つ情報として設計する。
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04患者・生活者
薬の名前は知られても、会社は知られにくい
背景
処方薬は一般向けの広告が制限され、患者は薬の名前を知っていても、つくった会社を意識することは少ない。
想定される課題
社会からの信頼や、薬価・医療費を巡る議論での理解が、会社の名前と結びつかない。
視点
病気の啓発や患者の支援の活動を通じて、会社の存在意義を伝える。製品ではなく、病気と向き合う姿勢を語る。
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05研究者・採用候補者
海外の企業と同じ人材を取り合う
背景
バイオやデータの研究者は、海外の製薬会社やスタートアップとも人材を取り合っている。
想定される課題
日本の製薬会社の研究の中身や、海外で働く機会が伝わらないと、優秀な人材が集まりにくい。
視点
研究の成果、使っている技術、海外の拠点で働く道筋を具体的に見せる。患者に届いた薬の物語を、研究者の仕事と結びつける。
競合・提携・出資の関係
この市場セグメントの用語
- 薬価
- 国が定める医療用医薬品の公定の価格。原則として毎年見直され、多くの薬で引き下げられる。
- パイプライン
- 製薬会社が開発中の新薬の候補の一覧。将来の売上の見通しを測る材料になる。
- 特許切れ(パテントクリフ)
- 主力の新薬の特許が切れ、後発品の参入で売上が急に落ちること。
- ADC(抗体薬物複合体)
- がん細胞に結びつく抗体に、抗がん剤を結合させた薬。薬をがん細胞に届けやすくする。
- 導入・導出(ライセンス)
- 他社の新薬の候補の権利を買うこと(導入)と、自社の候補の権利を他社に渡すこと(導出)。
- MR
- 医薬情報担当者。医師に薬の効果や安全性の情報を伝える製薬会社の担当者。