概要

創薬支援・受託は、製薬会社に代わって臨床試験を運営したり、医薬品を開発・製造したりする市場セグメントです。臨床試験を受託する企業はCRO、製造を受託する企業はCDMOと呼ばれます。新薬の開発が高度で費用のかかるものになるにつれ、製薬会社が自社で全部を抱えず、外部に任せる流れが強まっています。特に抗体医薬などのバイオ医薬品は、大規模な設備と専門の技術が必要なため、化学や素材の大手が設備投資で参入し、世界の受託の需要を取り合っています。

含むもの

  • 臨床試験の運営を受託するCRO
  • 医薬品の開発・製造を受託するCDMO

含まないもの

  • 自社で新薬を開発・販売する製薬会社(医療用医薬品で扱う)
  • 病院向けの検査機器(医療機器で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    臨床試験を受託する(CRO)

    治験の計画、医療機関の管理、データの集計などを製薬会社に代わって担う。世界で試験を運営できる規模が強みになる。

    IQVIA、シミックホールディングス、リニカル

  2. 02

    開発・製造を受託する(CDMO)

    バイオ医薬品などの製造工程を開発し、製薬会社から受託して生産する。大型の設備への投資が競争の条件になる。

    富士フイルムホールディングス、AGC

CROは人と運営のノウハウ、CDMOは設備と製造の技術が競争力の中心です。素材や化学のメーカーが、写真や化学で培った技術を生かしてCDMOに参入しています。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01製薬会社・バイオベンチャーの開発責任者

    「任せられる相手」の証明

    背景

    製薬会社は外部に任せる範囲を広げているが、品質や納期の問題は承認の遅れに直結する。

    想定される課題

    受託先の違いが外から見えにくく、価格や規模だけで比べられやすい。

    視点

    規制当局の査察の実績、試験・製造の実績、品質管理の仕組みを具体的に示す。担当者の専門性を前面に出す。

  2. 02投資家

    大型投資の回収の道筋を示す

    背景

    CDMOは数千億円規模の設備投資が先に必要で、受注が埋まるまで利益が出にくい。

    想定される課題

    設備の稼働の見通しが見えないと、投資の大きさがリスクとして受け取られる。

    視点

    長期の受注契約の状況や、稼働率の見通しを、時期を区切って開示する。

  3. 03採用候補者(理系人材)

    受託の仕事の価値が伝わりにくい

    背景

    臨床開発や製造の専門人材は、製薬会社と受託企業の双方で不足している。

    想定される課題

    「下請け」の印象から、受託企業の仕事が製薬会社より低く見られることがある。

    視点

    多くの新薬に関わる経験や、専門性を深める道筋を示す。患者に薬を届ける役割を、具体的な事例で伝える。

  4. 04治験に参加する患者・生活者

    治験への理解と参加を広げる

    背景

    日本では治験の参加者が集まりにくく、海外で先に開発が進む「ドラッグ・ロス」が課題になっている。

    想定される課題

    治験の目的や安全の仕組みが知られておらず、参加をためらう人が多い。

    視点

    治験の流れや患者を守る仕組みを、わかりやすく発信する。医療機関や患者団体と組んで情報を届ける。

競合・提携・出資の関係

出典で裏付けられた関係は、まだ登録されていません。

この市場セグメントの用語

CRO
Contract Research Organization。製薬会社から臨床試験などの開発業務を受託する企業。
CDMO
Contract Development and Manufacturing Organization。医薬品の製造工程の開発と製造を受託する企業。
治験
新薬の承認を得るために、人で効果と安全性を確かめる臨床試験。
バイオ医薬品
細胞などを使ってつくる、抗体などのたんぱく質の医薬品。製造に大型の培養設備が必要になる。
ドラッグ・ロス
海外で使われている新薬が、日本では開発されず使えない状態。

出典

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