概要

医療機器は、病院の検査や手術、家庭での健康管理に使われる機器をつくる市場セグメントです。治療に使うカテーテルなどの消耗品、内視鏡や画像診断の装置、血液などを調べる検査機器など、製品の種類が非常に幅広いのが特徴です。日本のメーカーは内視鏡や検査機器など特定の分野で世界の上位にあり、売上の多くを海外で得ています。カメラや電機、ロボットの技術を持つ企業が参入し、AIによる診断の支援や手術支援ロボットなど、新しい領域で競争が始まっています。

含むもの

  • カテーテルなどの治療機器・消耗品
  • 内視鏡・画像診断装置
  • 検査機器・試薬、生体情報モニター
  • 家庭用の医療機器
  • 手術支援ロボット

含まないもの

  • 医療用医薬品(医療用医薬品で扱う)
  • 医療の情報サービス(医療ITプラットフォームで扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    治療機器・消耗品

    カテーテルや注射器など、治療に使う機器と使い捨ての消耗品。繰り返し購入されるため収益が安定しやすい。

    テルモ

  2. 02

    内視鏡・画像診断

    内視鏡、CT・MRI・X線などの画像診断装置。光学や画像処理の技術が強みになる。

    オリンパス、富士フイルムホールディングス、キヤノン

  3. 03

    検査・モニタリング

    血液などの検査機器と試薬、病院の生体情報モニター、家庭用の血圧計など。

    シスメックス、日本光電、オムロン

  4. 04

    異業種の技術を持ち込む

    電機や重工のメーカーが、映像やロボットの技術を医療に持ち込む。医療機器メーカーと組む形が多い。

    ソニーグループ、川崎重工業

検査機器は試薬、内視鏡は修理・保守など、機器を売った後の継続的な収益が大きいのが特徴です。異業種の参入は、医療機器メーカーとの合弁を通じて行われることが多くなっています。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01病院の医師・経営者

    機器の性能から、病院の経営への貢献へ

    背景

    病院の経営は厳しく、高額な機器の購入には、診療の質と経営の両面での説明が求められる。

    想定される課題

    機能や性能の比較だけでは、価格の競争に巻き込まれやすい。

    視点

    検査や手術の効率、患者の負担の軽さ、保守の体制まで含めて、病院にとっての効果を示す。

  2. 02投資家

    海外で伸ばす力を示す

    背景

    日本のメーカーは売上の多くを海外で得ており、米国や新興国の制度・競争の影響を受ける。

    想定される課題

    品質や規制への対応が海外の当局に問われると、成長の見通しへの不安につながる。

    視点

    地域別の成長と、品質・規制対応の体制を一体で示す。製品の更新の計画を時期とともに開示する。

  3. 03患者・生活者

    見えない機器への信頼をつくる

    背景

    医療機器は患者が直接選ぶことが少なく、メーカーの名前が知られにくい。

    想定される課題

    家庭用の機器以外では、ブランドが信頼の形成に結びつきにくい。

    視点

    病気の早期発見や負担の少ない治療など、機器がもたらす価値を患者の視点で伝える。

  4. 04採用候補者(エンジニア)

    医療の手触りを伝える

    背景

    画像処理、ソフトウェア、ロボットの技術者は、電機やIT企業と取り合いになっている。

    想定される課題

    医療機器メーカーの仕事の中身が、技術者に知られていない。

    視点

    医療の現場に技術が届く手触りと、規制の中で品質を高める仕事の面白さを具体的に伝える。

競合・提携・出資の関係

  • 提携2件
    • 川崎重工業⇄シスメックス

      共同出資(手術支援ロボット)[1]

      川崎重工業とシスメックスが共同で出資してメディカロイドを設立し、手術支援ロボットを開発する。

    • ソニーグループ⇄オリンパス

      合弁(外科内視鏡)[2]

      ソニーが51%、オリンパスが49%を出資する合弁会社が、外科内視鏡システムなどを開発する。

この市場セグメントの用語

クラス分類
医療機器を、人体へのリスクの大きさでⅠ〜Ⅳに分ける仕組み。クラスが高いほど承認の審査が厳しい。
低侵襲治療
体を大きく切らずに、内視鏡やカテーテルで行う負担の少ない治療。
体外診断用医薬品(試薬)
血液などを体の外で調べる検査に使う試薬。検査機器とセットで継続的に売れる。
手術支援ロボット
医師が操作して、腹腔鏡などの手術を精密に行うためのロボット。
薬機法
医薬品・医療機器の品質や安全性、広告などを定める法律。

出典

  1. 企業沿革(新しいタブで開きます) メディカロイド公式サイト
  2. 会社情報(新しいタブで開きます) ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ公式サイト