概要

モビリティサービスは、車を使った移動をサービスとして提供する市場セグメントです。スマートフォンで車を呼ぶ配車のプラットフォームと、運転手のいない自動運転の車を走らせる技術の企業に分かれ、両者が組んで自動運転タクシー(ロボタクシー)を広げる動きが進んでいます。米国や中国で無人の運行が広がるなか、日本でも東京で自動運転タクシーの商用化に向けた準備が始まっています。

含むもの

  • 配車サービス
  • 自動運転による移動サービス

構造と主要企業

  1. 01

    配車プラットフォーム

    アプリで利用者と車・運転手を結びつける企業。料金の決済や需要の予測を担い、自動運転の車の受け皿にもなる。

    ウーバー・テクノロジーズ、リフト、GO

  2. 02

    自動運転タクシーの運行

    運転手のいない車を自社で開発・運行し、移動サービスとして提供する企業。

    ウェイモ、百度(バイドゥ)

  3. 03

    自動運転の技術開発

    AIを使った自動運転のソフトウェアや車両を開発するスタートアップ。

    Turing

自動運転の技術を持つ企業が、地域ごとに配車プラットフォームと組んで利用者を集める形が広がっている。日本では、タクシー会社との連携が事業の前提になっている。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01利用者・地域の住民

    無人の車に乗る不安を、安心に変える

    背景

    米国や中国の一部の都市で、運転手のいない自動運転タクシーの運行が広がり、日本でも東京での商用化が目標に掲げられている。

    想定される課題

    安全性への不安や、事故が起きたときの責任の所在が分からないことが、利用をためらわせる。

    視点

    走行の実績や安全の仕組みを、数字と具体的な場面で示す。地域の交通の担い手不足を補う手段として、目的から語る。

  2. 02タクシー会社・自治体

    運転手を置き換える話ではなく、交通を守る話にする

    背景

    タクシーやバスの運転手が不足し、地域の移動の手段が細っている。自動運転の企業は、運行管理をタクシー会社に任せる形で提携を進めている。

    想定される課題

    自動運転は運転手の仕事を奪うものと受け取られ、現場や地域の協力を得にくい。

    視点

    車両の点検や運行の管理など、タクシー会社が担う役割を明確にする。不足する供給を補い、地域の移動を続ける仕組みとして示す。

  3. 03投資家

    提携の多さが、収益の道筋に見えない

    背景

    配車プラットフォームは複数の自動運転の企業と、自動運転の企業は複数のプラットフォームと提携している。

    想定される課題

    どの組み合わせが、どの都市で、いつ収益になるのかが分かりにくい。自動運転に自社で取り組まない配車企業は、将来の立場を疑われやすい。

    視点

    提携ごとの役割(技術・車両の管理・利用者の獲得)と、都市ごとの展開の時期を整理して示す。どの技術とも組める立場を強みとして説明する。

  4. 04規制当局・政策担当者

    制度づくりの議論に、実績の情報で参加する

    背景

    自動運転の運行には、道路交通法や道路運送法などの許認可が必要で、運行の開始時期も許認可の取得を前提にしている。

    想定される課題

    制度の整備が追いつかないと、計画の時期が読めず、利用者や提携先の期待とのずれが生まれる。

    視点

    試験走行で得たデータや、海外での運行の経験を開示し、制度づくりに役立つ情報の提供者としての立場をつくる。

競合・提携・出資の関係

  • 提携5件
    • トヨタ自動車⇄ウェイモ

      自動運転で提携(基本合意)[1]

      トヨタとWaymoは自動運転技術の開発・普及に向けた協業検討で基本合意し、新たな自動運転車両プラットフォームや個人所有車への技術活用を検討するとした。

    • ウェイモ⇄ウーバー・テクノロジーズ

      ロボタクシーで提携[2]

      WaymoとUberは提携を拡大し、オースティンとアトランタでWaymoの自動運転車をUberアプリ限定で提供し、車両管理はUberが担うとした。

    • GO⇄ウェイモ

      東京の自動運転タクシーで提携[3]

      GO、Waymo、日本交通の3社は、2027年中に東京で自動運転レベル4の完全無人の商用タクシー運行をめざす戦略的パートナーシップに合意した。GOはアプリでの提供と全体の設計、Waymoは自動運転技術を担う。

    • リフト⇄百度(バイドゥ)

      欧州のロボタクシーで提携[4]

      リフトは、バイドゥの自動運転タクシー「Apollo Go」の車両を、規制の承認を前提に2026年からドイツと英国で自社アプリを通じて提供する計画を発表した。

    • ウェイモ⇄リフト

      ナッシュビルのロボタクシーで提携[5]

      WaymoとLyftは、2026年に米ナッシュビルでWaymoの自動運転の配車サービスを始めることで提携し、Lyftの子会社が車両の保守や拠点の運営を担う。

この市場セグメントの用語

ロボタクシー
運転手が乗らずに自動運転で走るタクシー。
自動運転レベル4
決められた地域や条件のなかで、運転をすべてシステムが担う段階。
配車プラットフォーム
アプリで利用者と車をつなぎ、料金の決済まで担う仕組み。
MaaS
Mobility as a Service。電車・バス・タクシーなどの移動を、一つのサービスとして検索・予約・決済できるようにする考え方。

出典

  1. Toyota and Waymo Outline Strategic Partnership to Advance Autonomous Driving Deployment(新しいタブで開きます) Toyota Motor Corporationプレスリリース公開日 2025.04.30
  2. Waymo and Uber expand partnership to bring autonomous ride-hailing to Austin and Atlanta(新しいタブで開きます) Waymoプレスリリース公開日 2024.09.13
  3. GO、Waymo、日本交通 自動運転タクシー商用化の実現に向けて合意(新しいタブで開きます) GO株式会社プレスリリース公開日 2026.09.15
  4. Lyft Partners with Baidu to Deploy Autonomous Rides Across Europe(新しいタブで開きます) Lyftプレスリリース公開日 2025.08.04
  5. Lyft and Waymo Launch Partnership to Expand Autonomous Mobility to Nashville(新しいタブで開きます) Lyftプレスリリース公開日 2025.09.17