概要

食品原料は、輸入した小麦・大豆・菜種・原料糖などを加工し、食品メーカーや外食が使う素材にする市場セグメントです。製粉・製油・製糖のいずれも、少数の大手が国内の生産の多くを担う構造になっています。原料の多くを輸入に頼るため、穀物の相場と為替の変化を、販売価格にどう反映させるかが収益の要になります。国内の需要が伸びにくいなか、植物由来の素材や健康に配慮した素材など、付加価値の高い商品と海外の事業に活路を求めています。

含むもの

  • 製粉(小麦粉)
  • 製油(食用油・油脂)と植物性の素材
  • 製糖
  • アミノ酸などの素材

含まないもの

  • 原料を使って消費者向けの商品をつくる事業(加工食品で扱う)
  • 穀物の輸入を担う商社

構造と主要企業

  1. 01

    製粉

    輸入した小麦を粉にし、パン・麺・菓子のメーカーや家庭に供給する。

    日清製粉グループ本社

  2. 02

    製油・植物性の素材

    大豆や菜種から食用油をつくる。チョコレート用の油脂や大豆たんぱくなど、加工度の高い素材も手がける。

    日清オイリオグループ、J-オイルミルズ、不二製油

  3. 03

    製糖・アミノ酸などの素材

    原料糖から砂糖をつくる。発酵の技術でアミノ酸などの素材をつくり、食品以外にも供給する。

    DM三井製糖、味の素

原料の調達では商社と、販売では加工食品のメーカーと深く結びついています。食品メーカーが原料メーカーの大株主になるなど、資本の結びつきも見られます。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01食品メーカー・外食の購買担当

    値上げの理由を、納得できる形で示す

    背景

    穀物の相場や円安で原料の費用が上がり、原料メーカーは販売価格の改定を繰り返している。

    想定される課題

    改定の理由が伝わらないと、取引先との関係が価格の交渉だけになりやすい。

    視点

    費用の変化の要因と時期を示し、品質の安定や供給の確実さといった価値とあわせて説明する。

  2. 02食品メーカーの商品開発の担当者

    素材から商品の価値を一緒につくる

    背景

    健康志向や植物由来の食品への関心が高まり、素材の機能が商品の差別化につながっている。

    想定される課題

    原料はほかの社の製品と置き換えられやすく、価格以外の違いが伝わりにくい。

    視点

    素材を使った商品の試作や用途の提案で、開発の段階から伴走する。成功した事例を発信する。

  3. 03投資家

    市況に左右される利益をどう語るか

    背景

    利益が穀物の相場と為替で大きく振れ、事業の実力が見えにくい。

    想定される課題

    原料の価格の動きだけで評価され、付加価値の高い事業の成長が埋もれる。

    視点

    市況の影響を受けにくい事業の比率と成長を、分けて示す。

  4. 04生活者・社会

    調達の持続可能性を問われる

    背景

    パーム油や大豆などの原料は、産地の森林破壊や人権の問題と結びつけて見られるようになっている。

    想定される課題

    調達の取り組みが見えないと、ブランドや取引先の評価を下げる要因になる。

    視点

    調達の方針と、産地までたどれる範囲を開示する。取引先の食品メーカーが使える情報として提供する。

競合・提携・出資の関係

  • 出資1件
    • 味の素→J-オイルミルズ

      筆頭株主(約27%)[1]

      J-オイルミルズの大株主の状況で、味の素が最も多くの株式(905万株余り)を持つ株主として示されている(2026年3月末時点)。

この市場セグメントの用語

政府売渡価格
国が輸入した小麦を製粉会社に売り渡す価格。年に2回見直され、小麦粉の価格に影響する。
搾油
大豆や菜種から油を搾ること。油を搾った残りは家畜の飼料などに使われる。
油脂の加工
油脂の性質を変えて、チョコレートやパン、マーガリンなどに合う素材にすること。
植物由来の食品(プラントベース)
肉や乳製品の代わりに、大豆などの植物からつくる食品。
価格改定
原料の費用の変化に合わせて、取引先への販売価格を見直すこと。

出典

  1. 株式の状況(新しいタブで開きます) J-オイルミルズ公式サイト