概要

通信キャリアは、携帯電話や光回線の通信網を持ち、個人と法人に通信サービスを提供する市場セグメントです。国内では大手3社が長く市場を分け合い、そこに楽天モバイルが新たに加わって4社の体制になりました。料金の引き下げで通信の収益が伸びにくくなるなか、各社は金融・決済・ECなどの経済圏と、法人向けのDX・データセンター・AIに成長を求めています。通信網は社会の基盤であり、障害への備えや災害時の対応も強く問われます。

含むもの

  • 自社で携帯電話の通信網を持つ事業者(MNO)
  • 光回線などの固定通信と、法人向けのネットワーク
  • 大手の回線を借りて通信サービスを提供する事業者(MVNO)

含まないもの

  • データセンター・クラウドの事業(クラウド・データセンターで扱う)
  • 通信機器・基地局のメーカー(電機・精密業界で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    大手キャリア

    携帯と固定の通信網を全国に持ち、個人・法人の両方に幅広いサービスを提供する。

    NTT、KDDI、ソフトバンク

  2. 02

    新規参入のキャリア

    自社のEC・金融などの経済圏と組み合わせ、低価格の料金で加入者を増やしてきた。

    楽天グループ

  3. 03

    回線を借りる事業者・法人向けネットワーク

    大手の回線を借りて通信サービスを提供するほか、法人向けのネットワークやインターネット接続を手がける。

    インターネットイニシアティブ(IIJ)

通信の料金と品質では差がつきにくくなり、ポイントや決済などの経済圏と、法人向けのソリューションが競争の軸になっている。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01生活者(契約を見直す人)

    料金の比較から、経済圏の価値へ

    背景

    料金の引き下げと乗り換えの手続きの簡素化で、料金プランの差が小さくなった。各社はポイントや決済、金融のサービスと通信を組み合わせている。

    想定される課題

    プランやポイントの条件が複雑になり、生活者には得かどうかが判断しにくい。

    視点

    生活の場面ごとに、通信と周辺のサービスを組み合わせた価値を分かりやすく示す。条件の分かりやすさそのものを、信頼の訴求にする。

  2. 02利用者・社会

    つながり続ける責任を、平時から示す

    背景

    通信は生活と経済の基盤で、大規模な障害や災害時の通信の確保が社会的に重視されている。

    想定される課題

    障害が起きると、ブランド全体の信頼が一度に損なわれる。

    視点

    障害への備えと復旧の体制、災害時の支援の実績を平時から開示する。起きたときの説明の速さと内容を、あらかじめ決めておく。

  3. 03法人の経営者・情報システム部門

    回線の会社から、DXの相手へ

    背景

    各社は法人向けに、ネットワークに加えてクラウド、データセンター、セキュリティ、AIを提供している。

    想定される課題

    回線の契約先という印象が強く、DXやAIの相談相手として想起されにくい。SIerやクラウド事業者と比べられる。

    視点

    通信と計算の基盤を一体で持つ強みを、業種ごとの事例で示す。地域の拠点と営業網を生かした、中小企業への伴走を打ち出す。

  4. 04投資家

    成熟した通信と、成長への投資の釣り合い

    背景

    国内の通信の加入者は伸びにくく、AI向けのデータセンターや新しい事業への投資が増えている。

    想定される課題

    大きな投資の回収の道筋が見えないと、配当などの株主還元との釣り合いが問われる。

    視点

    通信の安定した収益と、成長分野への投資の配分の考え方を示す。新しい事業の進み具合を、時期と指標で開示する。

  5. 05販売代理店(キャリアショップ)

    店舗の役割を、契約の窓口から暮らしの相談へ

    背景

    オンラインでの契約が増え、各社は店舗の数や役割を見直している。一方で、高齢者などには対面での手続きや相談の需要が残る。

    想定される課題

    店舗の役割が曖昧なままだと、代理店の経営が厳しくなり、利用者の満足も下がる。

    視点

    スマートフォンの使い方の相談や、金融・電気などの生活のサービスの窓口として、店舗の役割を定義し直す。代理店と評価の仕組みをそろえる。

競合・提携・出資の関係

  • グループ1件
    • ソフトバンクグループ→ソフトバンク

      グループ会社[1]

      ソフトバンクグループは、国内でモバイル・ブロードバンドなどのサービスを提供するソフトバンクを、グループ企業の一覧の「ソフトバンク事業」に挙げている。

この市場セグメントの用語

MNO
Mobile Network Operator。自社で携帯電話の通信網を持つ事業者。
MVNO
大手の通信網を借りて、独自の料金でサービスを提供する事業者。格安SIMとも呼ばれる。
ARPU
1契約あたりの平均収入。通信事業の収益力を示す指標。
経済圏
通信・決済・EC・金融などのサービスを、共通のポイントや会員IDでつなげた仕組み。

出典

  1. グループ企業一覧(新しいタブで開きます) ソフトバンクグループ公式サイト