概要

クラウド・データセンターは、企業や行政のシステムを動かす計算資源を提供する市場セグメントです。世界では米国の大手が巨大なデータセンター網とサービスの幅で先行し、国内企業は通信キャリアやデータセンターの運営事業者、国産のクラウド事業者として、データの保管場所や運用の近さを強みに競っています。生成AIの普及で、GPUを積んだデータセンターへの投資が急増し、電力と用地の確保が新たな制約になっています。データの主権や経済安全保障の観点から、国内のクラウドへの関心も高まっています。

含むもの

  • パブリッククラウド(IaaS・PaaS)
  • データセンターの建設・運営とコロケーション
  • 国内のクラウド事業者

含まないもの

  • AI向けクラウドの詳細(AIテーマのAIクラウドで扱う)
  • 業務アプリケーションのSaaS(ソフトウェア・SaaSで扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    世界のハイパースケーラー

    世界に巨大なデータセンター網を持ち、計算・保存からAIまで幅広いクラウドのサービスを提供する。

    Amazon.com(AWS)、Microsoft、Alphabet(Google)、オラクル

  2. 02

    国内のクラウド事業者

    国内にデータセンターを持ち、データの保管場所や日本語でのサポートを強みにする。

    さくらインターネット、インターネットイニシアティブ(IIJ)

  3. 03

    データセンターの運営事業者

    データセンターの建物・電力・回線を整え、クラウド事業者や企業に場所と接続を提供する。

    エクイニクス、NTT、KDDI

クラウドのサービスの幅では米国の大手が先行し、国内企業はデータセンターの運営や、国内でデータを扱うことを求める顧客に強みを持つ。AI向けの投資で、電力と用地の確保が競争の条件になっている。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01企業・行政の情報システム部門

    どこにデータを置くかを、選べるように示す

    背景

    システムのクラウドへの移行が進む一方、データの保管場所や海外の法律の影響を気にする組織が増えている。

    想定される課題

    機能の幅では海外の大手に見劣りし、国内の事業者を選ぶ理由が伝わりにくい。

    視点

    データの保管場所、運用の体制、障害時の対応を具体的に示す。海外の大手と組み合わせて使う形も含め、顧客にとっての選択肢として位置づける。

  2. 02データセンターの立地する地域の住民・自治体

    データセンターの立地を、地域の価値として語る

    背景

    AI向けのデータセンターは大量の電力と用地を必要とし、地方での建設の計画が相次いでいる。

    想定される課題

    電力や水の使用、景観への懸念に答えられないと、地域の理解が得られにくい。雇用が少ない施設と見られやすい。

    視点

    再生可能エネルギーの利用、排熱の活用、地域の企業との連携を具体的に示す。地域にとっての長期の利点を、計画の段階から説明する。

  3. 03投資家

    巨額の投資の回収の道筋を示す

    背景

    AI向けのデータセンターとGPUへの投資が急増している。需要の見通しには不確かさもある。

    想定される課題

    投資の規模に対して収益の見通しの説明が不足すると、過剰な投資の懸念を招く。

    視点

    契約済みの需要、稼働率、電力の確保の状況など、回収の根拠となる指標を開示する。

  4. 04開発者・インフラエンジニア

    使いたくなる基盤であることを示す

    背景

    クラウドの選定には、現場の開発者の使いやすさや情報の多さが影響する。

    想定される課題

    国内の事業者は、ドキュメントや事例、コミュニティの厚みで海外の大手に差をつけられやすい。

    視点

    日本語のドキュメント、検証用の無料枠、技術者向けのイベントで、開発者との接点を増やす。

競合・提携・出資の関係

  • 競合2件
    • Alphabet(Google)⇄Microsoft

      クラウド[1]

      AWS・Microsoft・Googleの3社がクラウド市場で約6割のシェアを分け合い、生成AIを軸に競っていると報じている。

    • Microsoft⇄Amazon.com(AWS)

      クラウド[2]

      AWSとMicrosoft(Azure)がクラウド市場で首位を争う大手として競合していると報じている。

  • 提携1件
    • オラクル⇄Amazon.com(AWS)

      Oracle Database@AWS[3]

      OracleとAWSが、AWSの中でOracleのデータベースのサービスを使える「Oracle Database@AWS」の一般提供を始めた。

この市場セグメントの用語

ハイパースケーラー
世界に巨大なデータセンター網を持ち、大規模なクラウドを提供する事業者。
コロケーション
データセンターの場所・電力・回線を借りて、自社のサーバーを置くサービス。
IaaS・PaaS
IaaSはサーバーなどの基盤を、PaaSはアプリケーションの開発・実行の環境を、ネット経由で提供するクラウドの形態。
ガバメントクラウド
国や自治体のシステムが共通で使うクラウドの基盤。
ソブリンクラウド
データの保管場所や運用の主体を国内に限るなど、国の主権を意識したクラウド。

出典

  1. AWS・MS・Googleが生成AIでデッドヒート、各社の強みと課題を徹底分析(新しいタブで開きます) 日経クロステック(日経BP)その他(二次情報)公開日 2025.12.02
  2. AWS・MS・Googleが生成AIでデッドヒート、各社の強みと課題を徹底分析(新しいタブで開きます) 日経クロステック(日経BP)その他(二次情報)公開日 2025.12.02
  3. Oracle Database@AWS Now Generally Available(新しいタブで開きます) Oracleプレスリリース公開日 2025.07.08