概要

ECは、ネット上の売り場で商品を売る事業です。日本では、自ら仕入れて売る通販と出店者を集めるモールを併せ持つAmazon、出店者を集めるモールの楽天市場とYahoo!ショッピングの3つが大きな売り場で、配送の速さとポイントの還元で競っています。分野に特化した通販や個人間の売買のアプリも、それぞれの客層を持っています。いま、ECは物流の人手不足と配送料の上昇に直面する一方、広告やAIによる商品の提案など、売り場のデータを使う事業の比重を高めています。

含むもの

  • 総合ネット通販・ショッピングモール
  • 分野に特化したネット通販
  • 個人間の売買(フリマアプリ)

含まないもの

  • 店舗を持つ小売のネットスーパー・自社通販(各業態の市場セグメントで扱う)
  • ネット広告・検索(AI検索・広告の領域で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    総合ECモール

    幅広い商品を扱い、多くの出店者と購入者を集める大型の売り場。物流・決済・ポイントの仕組みで囲い込む。

    Amazon.com(AWS)、楽天グループ、LINEヤフー

  2. 02

    分野特化のEC

    ファッションなど特定の分野に絞り、品ぞろえと見せ方で選ばれる通販。

    ZOZO

  3. 03

    個人間取引(C2C)

    個人が不要になった物を出品し、個人どうしで売り買いする場を運営する。

    メルカリ

  4. 04

    海外のECプラットフォーム

    海外でECモールを運営し、国境を越えた販売(越境EC)にも関わる企業。

    アリババ集団

大手のモールは、通信・金融・ポイントなどほかのサービスと会員を共通にして、経済圏として競っている。出店者にとっては、どのモールに頼るかが販売の力を左右する。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01出店する事業者・メーカー

    手数料と広告費の負担に、成果で応える

    背景

    大手のモールは出店料・手数料に加えて、モール内の広告で収益を伸ばしている。

    想定される課題

    出店者は、売上を伸ばすほど広告費がかさむと感じ、モールに頼りすぎることを警戒する。

    視点

    広告の効果と顧客データの開示を進め、出店者が投資の判断をしやすくする。出店者の成功の例を、規模の小さい事業者の目線で伝える。

  2. 02ネット通販の利用者

    ポイントの競争から抜け出す理由

    背景

    大手のモールはポイントの還元と配送の速さで競い、利用者は条件の良いモールを使い分けている。

    想定される課題

    還元の条件を変えるたびに、利用者の不満が広がり、ほかのモールへ移られやすい。

    視点

    ポイントだけでなく、品質の保証・返品のしやすさ・偽物の対策など、安心して買える理由を示す。

  3. 03生活者・社会

    便利さを支える物流の負担を伝える

    背景

    配送の人手不足と再配達が問題になり、無料配送の持続性が問われている。

    想定される課題

    「送料無料」が当たり前と受け取られると、物流の負担の大きさが見えにくくなる。

    視点

    置き配やまとめ配送の選択を、利用者が参加できる取り組みとして示し、配送の負担を減らす協力を呼びかける。

  4. 04投資家

    物販の利益と、広告・金融の利益を分けて語る

    背景

    ECの事業者は物販の利益率が低く、広告・決済・金融で収益を補う形が広がっている。

    想定される課題

    取扱高の伸びだけでは、利益をどこで生んでいるかが伝わらない。

    視点

    取扱高・広告・金融などの収益の内訳と、会員の利用の広がりを示し、経済圏としての成長を説明する。

競合・提携・出資の関係

  • 競合1件
    • 楽天グループ⇄Amazon.com(AWS)

      ネット通販で競合[2]

      楽天が日本郵政への株式売却で物流の提携を深めた背景として、Amazonなどとの競争があると報じた。

  • グループ1件
    • LINEヤフー→ZOZO

      連結子会社[1]

      ZOZOは2019年にヤフー(現LINEヤフー)と資本業務提携し、同年11月にその連結子会社となった。

この市場セグメントの用語

流通取引総額(GMV)
ECの売り場で売買された商品の金額の合計。事業者の売上高とは別の指標。
マーケットプレイス
運営者が出店者を集め、出店者が商品を販売するネット上の売り場。
リテールメディア
小売・ECが自らの売り場や会員データを使って提供する広告の媒体。
経済圏
通販・決済・通信・金融などのサービスを共通の会員とポイントでつなぎ、利用者を囲い込む仕組み。
C2C
Consumer to Consumerの略。個人どうしの取引。

出典

  1. 会社沿革(新しいタブで開きます) ZOZO公式サイト
  2. Rakuten to sell 8% stake to Japan Post in Amazon battle(新しいタブで開きます) Reuters(Nippon.com)その他(二次情報)公開日 2021.03.12