概要

倉庫・物流サービスは、荷主に代わって保管・流通加工・輸送の手配をまとめて担い、物流の仕組みそのものを設計・運営する市場セグメントです。国内外の輸送を手配するフォワーダー、倉庫を運営する会社、製造業の工場内の物流を担う会社など、出自の違う企業が3PL(物流の一括受託)の市場で競っています。荷主が物流を外部に任せる流れは長く続いてきましたが、いまは人手不足で倉庫の作業を自動化する投資の負担が増え、規模や資本力の差が広がっています。投資ファンドによる買収や業界の再編も進んでいます。

含むもの

  • 3PL(物流の一括受託)
  • 国際輸送の手配(フォワーディング)
  • 営業倉庫の運営
  • 物流の効率化を支えるソフトウェア

含まないもの

  • 自動倉庫・搬送設備の製造(人手不足テーマの「物流の省人化」で扱う)
  • 宅配便・路線のトラック輸送(04 陸運・宅配で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    総合物流・フォワーダー

    航空・海上の国際輸送の手配から通関・国内の配送まで、国をまたいで物流を一貫して請け負う。

    NIPPON EXPRESSホールディングス、近鉄エクスプレス

  2. 02

    3PL・倉庫の運営

    荷主の物流センターを運営し、保管・流通加工・配送をまとめて担う。業種ごとの専門性を強みにする。

    センコーグループホールディングス、三井倉庫ホールディングス、三菱倉庫、SBSホールディングス、ロジスティード、山九

  3. 03

    物流の効率化を支えるソフトウェア

    トラックの予約や配送の計画をデジタル化し、物流会社と荷主の間の段取りを効率化する。

    Hacobu

総合物流・倉庫・工場物流と出自の違う企業が同じ3PLの市場で競う。自動化への投資の負担が大きくなり、規模を求めた買収や、ソフトウェア企業との組み合わせが増えている。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01荷主企業の物流・調達の担当者

    「どこに頼んでも同じ」に見える

    背景

    3PLの各社は、保管・輸送・流通加工という似たサービスを掲げ、提案の違いが見えにくい。

    想定される課題

    価格の比較で選ばれやすく、業種の専門性や改善の提案力といった強みが伝わらない。

    視点

    業種ごとに、荷主の在庫や欠品・費用がどう改善したかを事例で示す。物流を任せた後の改善の仕組みを、提案の中心に置く。

  2. 02荷主企業の経営層

    物流が経営の課題として扱われていない

    背景

    運ぶ力の不足で、物流を確保できるかが販売や生産を左右するようになった。国も荷主に物流の効率化を求める制度を整えている。

    想定される課題

    物流が現場の費用の問題として扱われ、経営の判断の場に上がらない。長期の協力関係を結ぶ前提がつくれない。

    視点

    物流の制約が売上や供給に与える影響を、経営の言葉で示す。荷主の経営層と中長期の物流の計画を共に描く関係を提案する。

  3. 03投資家

    自動化への投資の回収が見えにくい

    背景

    倉庫の自動化には大きな投資が必要で、荷主との契約の期間が短いと回収の見通しが立ちにくい。

    想定される課題

    投資の負担が利益を押し下げると、成長の投資ではなく費用の増加と受け取られる。

    視点

    自動化した拠点の生産性や、複数の荷主で設備を共有する仕組みを数字で示す。契約の期間と投資の回収の関係を開示する。

  4. 04採用候補者

    倉庫の仕事が、単純作業に見える

    背景

    物流センターの運営には、在庫の管理、自動化の設計、データの分析などの仕事が広がっている。

    想定される課題

    「倉庫で荷物を扱う仕事」という印象から、企画や技術の仕事を志す人の選択肢に入らない。

    視点

    物流の仕組みを設計する仕事、データやロボットを扱う仕事を、具体的な役割として示す。

競合・提携・出資の関係

この市場セグメントの用語

3PL
Third Party Logistics。荷主に代わって、物流の企画から保管・輸送までをまとめて請け負う事業の形。
フォワーダー
自社では船や航空機を持たず、輸送の手配や通関をまとめて行う国際物流の事業者。
流通加工
倉庫で行う値札付け・梱包・組み立てなど、商品を出荷できる状態に整える作業。
物流効率化法
荷主と物流事業者に、荷待ち時間の削減や積載率の向上などの取り組みを求める法律。一定規模以上の荷主には計画の作成なども求められる。

出典

  1. 近鉄グループ情報|国際物流事業(新しいタブで開きます) 近鉄グループホールディングス公式サイト