概要

自動車部品は、完成車メーカーに部品やシステムを納める市場セグメントです。日本では、完成車メーカーと資本や長期の取引で結びつく大手の部品メーカーが多く、電装品・駆動系・電線・タイヤなど、製品ごとに強い企業が分かれています。いま、エンジン向け部品の需要が先細る一方で、電動化の駆動モジュールや車載ソフトウェアに投資が集まり、系列の資本関係の見直しや、部品メーカー同士の協業が進んでいます。

含むもの

  • 電装品・電子部品
  • 駆動・パワートレイン部品
  • タイヤ

含まないもの

  • 半導体そのもの(半導体テーマで扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    総合システムサプライヤー

    電装・制御・駆動など幅広いシステムを、複数の完成車メーカーに直接納める大手。電動化と車載ソフトウェアの開発を担う。

    デンソー、ボッシュ、アイシン

  2. 02

    トヨタグループの部品・車両の受託

    トヨタ自動車と資本や取引で結びつき、エンジン・変速機・車両の組み立てなどを担う企業。

    豊田自動織機

  3. 03

    電線・ワイヤーハーネス

    車の中で電気と信号を運ぶ電線の束(ワイヤーハーネス)やコネクタをつくる企業。電動化で扱う電力と情報量が増えている。

    住友電気工業、矢崎総業

  4. 04

    タイヤ

    新車向けと交換用のタイヤをつくる企業。完成車メーカーだけでなく、運送会社や一般の利用者も顧客になる。

    ブリヂストン、コンチネンタル

部品メーカーは、完成車メーカーとの資本関係と、製品ごとの専門性の2つの軸で並ぶ。電動化の駆動モジュールのように、系列内の部品メーカーが共同で開発する例も増えている。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01取引先・部品メーカー

    系列の見直しのなかで、立ち位置を示し直す

    背景

    完成車メーカーと部品メーカーの資本関係の見直しや、エンジン向け部品の需要の変化が進んでいる。

    想定される課題

    特定の完成車メーカーとの関係で見られてきた企業は、独立性や新しい事業の方向が伝わりにくい。

    視点

    取引先の広がりと、電動化・ソフトウェアの時代に担う技術を、事業の柱として示す。グループの一員であることと、独自の強みを両立させて語る。

  2. 02投資家

    エンジン部品の縮小と、電動化の伸びを同時に説明する

    背景

    エンジンや変速機の部品は売上の大きな柱である一方、電動化の駆動部品やソフトウェアには先行投資が続いている。

    想定される課題

    いまの稼ぎ頭が縮む事業に見え、新しい事業の収益化の時期も読みにくいため、成長の道筋が評価されにくい。

    視点

    事業ごとの売上の構成が変わっていく見通しを、時期と数で示す。既存事業の収益を新しい事業へ振り向ける資金の流れとして説明する。

  3. 03海外の完成車メーカー

    系列の外の顧客に、選ばれる理由をつくる

    背景

    電動化で部品の調達先を広げる完成車メーカーが増え、日本の部品メーカーも系列の外への販売を伸ばそうとしている。

    想定される課題

    特定の完成車メーカー向けの印象が強いと、競合する完成車メーカーには技術の流出や優先順位の面で不安を持たれやすい。

    視点

    採用実績を顧客別に積み上げて見せ、独立した開発・供給の体制を示す。技術の強みを、完成車メーカーごとの設計に合わせられる柔軟さとして伝える。

  4. 04採用候補者(電気・ソフトウェアの技術者)

    名前が知られていない「中の部品」の仕事を伝える

    背景

    部品メーカーは完成車の内部で使われる製品が多く、一般の利用者に直接見えにくい。電動化とソフトウェアで、電機・IT企業と同じ人材を取り合っている。

    想定される課題

    社名や製品が知られず、仕事の中身や技術の幅が伝わらないまま、完成車メーカーやIT企業に人材が流れる。

    視点

    世界の多くの車に自社の技術が使われている規模感と、電動化・ソフトウェアの開発の現場を具体的に見せる。

競合・提携・出資の関係

  • 提携1件
    • アイシン⇄デンソー

      電動駆動モジュールを共同開発[4]

      アイシンとデンソー、両社が出資するBluE Nexusが2モーターハイブリッド駆動モジュールを共同開発し、変速機とモーターをアイシン、インバーターをデンソーの米国拠点で生産する。

  • 出資2件
    • トヨタ自動車→デンソー

      出資(約20%)[1]

      トヨタはデンソー株の一部売却で保有比率を24.2%から約20.0%に下げる計画を公表し、筆頭株主として資本関係を見直した。

    • トヨタ自動車→アイシン

      出資(約22%)[2]

      アイシンの大株主一覧でトヨタ自動車が筆頭株主として約1億6,183万株、議決権比率22.34%を保有している。

  • グループ1件
    • トヨタ自動車→豊田自動織機

      グループで非公開化[3]

      トヨタ不動産がTOBで豊田自動織機を非公開化し、トヨタ自動車は保有株を手放す一方で新設持株会社の無議決権優先株に約7,000億円を出資する計画と公表された。

この市場セグメントの用語

ティア1
完成車メーカーに部品やシステムを直接納める一次部品メーカー。
eアクスル
モーター・インバーター・変速機をひとまとめにした、電動車の駆動用の部品。
ワイヤーハーネス
車の中の電気や信号を運ぶ電線を束ね、コネクタをつけた部品。
新車装着と市販(補修)
タイヤなどで、完成車メーカーが新車に付ける分と、利用者が交換用に買う分を分けて呼ぶ言い方。

出典

  1. Boosting Growth Investment to Power Mobility Company Transformation Toyota-DENSO Capital Ties Revised(新しいタブで開きます) Toyota Motor Corporationプレスリリース公開日 2023.11.29
  2. 株主・株式の概要(新しいタブで開きます) 株式会社アイシン公式サイト公開日 2026.05.25
  3. Toyota Group to Accelerate Collaboration Towards Transforming into a Mobility Company Through Privatization of Toyota Industries Corporation(新しいタブで開きます) Toyota Motor Corporationプレスリリース公開日 2025.06.03
  4. Newly Developed "Two-Motor Hybrid Drive Module" Adopted for STELLANTIS New "Jeep Cherokee"(新しいタブで開きます) AISIN World Corp. of Americaプレスリリース公開日 2026.08.27