概要

不動産開発・賃貸は、土地を仕入れて街や建物を開発し、貸したり売ったりして収益を得る市場セグメントです。大手の総合不動産会社は都心に大きな土地と建物を持ち、オフィスの賃貸を収益の柱に、商業施設・ホテル・分譲マンション・物流施設へと事業を広げてきました。開発した物件をREIT(不動産投資信託)などに売却して資金を回す手法も一般的になっています。いま、建設費の高騰と金利の上昇で開発の採算が厳しくなる一方、都心の再開発や海外の事業への投資は続いており、株主からは資本を効率よく使うことも求められています。

含むもの

  • 総合不動産会社(デベロッパー)
  • 都心の再開発
  • オフィス・商業施設・ホテルの賃貸と運営
  • 分譲マンションの開発

含まないもの

  • 仲介・管理などの不動産サービス(05 不動産サービスで扱う)
  • 鉄道会社の沿線開発(01 運輸・物流の鉄道でも扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    大手総合不動産

    都心のオフィスを中心に、商業施設・住宅・ホテル・物流施設などを幅広く開発・保有する。

    三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングス

  2. 02

    都市再開発に特化した開発会社

    特定の地域で大規模な再開発を手がけ、街の運営まで長く担う。

    森ビル

大手は持っている土地と街の運営の実績を強みに、長い期間をかけて街をつくる。開発した物件を売却して資金を回す動きと、手放さずに持ち続ける動きの組み合わせ方が各社の違いになっている。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01テナント企業(オフィス・商業)

    働く場所を選ぶ理由を示す

    背景

    在宅勤務が定着し、企業はオフィスの役割を見直している。都心では大型のビルの供給も続いている。

    想定される課題

    立地や設備の比較だけでは、ほかのビルとの違いが伝わらない。空室が増えると賃料の水準が下がる。

    視点

    社員の交流や採用への効果など、オフィスが企業の経営にもたらす価値を示す。街全体のサービスや催しを、入居する理由として伝える。

  2. 02地域住民・行政

    再開発が「誰のための街か」を問われる

    背景

    都心の再開発は、容積率の緩和などの公共の制度を使って進む。景観や樹木、地域の商店への影響が議論になることもある。

    想定される課題

    開発の意義が伝わらないと、地域の反対が強まり、計画の遅れや企業の評判の低下につながる。

    視点

    計画の早い段階から地域との対話の場を設け、公共の空間や防災の機能など、地域が得るものを具体的に示す。

  3. 03投資家

    大きな資産を持つことの効率が問われる

    背景

    大手は多くの不動産を持ち、含み益(簿価と時価の差)も大きい。株主から資本の効率の改善を求められる場面が増えている。

    想定される課題

    資産の大きさが評価されず、資本を十分に生かしていないと見られる。

    視点

    物件の売却と再投資の計画を数字で示し、資本の回し方を明確にする。保有を続ける資産については、その理由と生み出す価値を説明する。

  4. 04マンションの購入を考える世帯

    価格の高騰の中で、ブランドの価値を伝える

    背景

    都心の新築マンションの価格は高騰し、購入できる層が限られてきている。

    想定される課題

    価格の高さばかりが話題になり、品質や管理、資産としての価値が伝わりにくい。

    視点

    建物の品質と管理の体制、街の将来の計画を、長く住む価値として示す。

競合・提携・出資の関係

この市場セグメントの用語

デベロッパー
土地を取得して建物や街を企画・開発し、賃貸・分譲する不動産会社。
REIT
不動産投資信託。投資家から集めた資金で不動産を買い、賃料などの収益を分配する仕組み。開発会社の物件の売却先にもなる。
容積率
敷地の面積に対して建てられる床の面積の割合。再開発では、公共への貢献と引き換えに緩和されることがある。
空室率
オフィスなどで、貸せる床のうち借り手のいない床の割合。賃料の水準を左右する。

出典

  1. JR東日本と東急不動産ホールディングス 包括的業務提携に基づくコラボ株主優待券の発行について(新しいタブで開きます) 東急不動産ホールディングスプレスリリース公開日 2024.01.31