概要

再生可能エネルギー発電は、GXの「つくる」の中心にある領域です。この領域では、太陽光や風力の発電所を開発して電気を売る事業者、火力から再生可能エネルギーへ電源を移しつつある大手電力会社・発電会社、そして風車や太陽光パネルをつくる設備メーカーを、一つの流れとして扱います。発電所を開発する企業と設備をつくる企業が分かれ、国の制度(入札や買取の価格)が事業の採算を大きく左右することが、この領域の構造の特徴です。いま、洋上風力では資材費や金利の上昇で計画の見直しが相次ぎ、太陽光では中国企業への生産の集中が進むなど、拡大の速さと採算の両立が問われています。

含むもの

  • 太陽光・陸上風力・洋上風力などの発電所の開発・運営
  • 再生可能エネルギーに取り組む大手電力会社・発電会社
  • 風力発電機(風車)・太陽光パネルの製造

含まないもの

  • 水素・アンモニアによる発電(02 水素・アンモニア・次世代燃料で扱う)
  • 送電網と電力機器(04 送配電・電力機器で扱う)
  • 原子力発電

構造と主要企業

  1. 01

    再エネの開発・発電事業者

    用地や海域を確保して発電所を開発し、建設後は運営して電気を売る。再生可能エネルギーを本業とする事業者。

    オーステッド、ネクステラ・エナジー、レノバ

  2. 02

    大手電力会社・発電会社

    火力などの既存の電源を持ちながら、再生可能エネルギーの発電所を増やしている電力会社と発電会社。

    JERA、東京電力ホールディングス、関西電力、中部電力

  3. 03

    発電設備メーカー

    風力発電機(風車)や太陽光パネルを開発・製造し、発電事業者に納める。設置後の保守も担う。

    ヴェスタス、シーメンス・エナジー、GEベルノバ、ファースト・ソーラー

発電事業者が計画を立て、設備メーカーから風車やパネルを調達して発電所をつくる。国内では、大手電力会社が出資する発電会社や、再エネ専業の事業者が開発を担っている。

コミュニケーションの課題と視点

この領域の競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01発電所の立地地域の住民・漁業者・自治体

    発電所の利益が、地域に見えにくい

    背景

    洋上風力や大規模な太陽光は、海域や広い土地を長期間使う。景観や漁業、災害への影響が地域の関心事になっている。

    想定される課題

    電気は地域の外で使われることが多く、地域にとっての利益が見えないまま、負担や不安だけが伝わりやすい。合意の形成が遅れると、計画そのものが止まる。

    視点

    計画の早い段階から、地域への利益(雇用、税収、共生の基金、港湾の活用)と影響への対策を具体的に示す。説明会だけでなく、継続して対話する場を持つ。

  2. 02投資家・金融機関

    成長の物語と、採算の見直しが同時に届く

    背景

    資材費や金利の上昇、入札の条件の変化で、洋上風力を中心に計画の撤退や減損が国内外で相次いでいる。

    想定される課題

    再生可能エネルギーの拡大という長期の物語と、個別の案件の採算悪化が同時に伝わり、事業の先行きを判断しにくくなっている。

    視点

    案件ごとの採算の前提(価格の決まり方、費用の変動への備え)と、投資の選別の基準を開示する。成長の数字よりも、規律ある投資の姿勢を示す。

  3. 03電気を買う企業のサステナビリティ・調達担当

    「再エネの電気」が、どれも同じに見える

    背景

    企業が再生可能エネルギーの電気を長期で買う契約(PPA)や、証書を組み合わせたメニューが増えている。

    想定される課題

    電気そのものに違いはなく、発電所が新しく増えるのか、どの地域のどの電源なのかといった違いが買い手に伝わりにくい。価格の比較だけになりやすい。

    視点

    新しい発電所を増やすことへの貢献(追加性)や、発電所の所在・電源の種類を、買い手が開示に使える形で示す。買い手の事例を共同で発信する。

  4. 04国内のサプライヤー・港湾・建設会社

    設備は海外製、国内に産業が根づくか

    背景

    風車や太陽光パネルの主要メーカーは海外企業が多い。国は洋上風力の部品などの国内の供給網づくりを後押ししている。

    想定される課題

    発電所が増えても、国内の企業に仕事が生まれないと受け取られると、産業政策としての支持を得にくい。部品の調達先にとっても参入の判断がつかない。

    視点

    どの工程を国内で担えるのか(部品、建設、保守、港湾)を、調達の計画とあわせて示す。サプライヤーとの共同開発や育成の取り組みを発信する。

  5. 05採用候補者(技術者・事業開発)

    電力会社のイメージが、新しい仕事を隠す

    背景

    大手電力会社や発電会社は、再生可能エネルギーの開発や海外事業、電力取引など、新しい職種を増やしている。

    想定される課題

    「安定した公益企業」という印象が強く、開発や事業投資に関心のある人材に、挑戦できる仕事があることが伝わりにくい。

    視点

    再エネ開発や海外案件の具体的な仕事を、担当者の言葉で伝える。既存の事業との違いと、身につく専門性を示す。

競合・提携・出資の関係

この領域の用語

洋上風力発電
海の上に風車を建てて発電する方式。陸より風が強く安定するが、建設と保守の費用が大きい。
PPA(電力購入契約)
企業が発電事業者から、特定の発電所の電気を長期間決まった条件で買う契約。
FIT・FIP
再生可能エネルギーの電気を国の制度で支える仕組み。FITは固定価格で買い取り、FIPは市場価格に上乗せ分を払う。
出力制御
電気が余りそうなときに、送配電事業者が発電所に発電を止めるよう求めること。発電事業者の収入に影響する。
追加性
その取り組みがなければ生まれなかった削減や発電であること。再エネの電気やクレジットの質を測る考え方。

出典

  1. 会社概要・事業所・発電所(新しいタブで開きます) JERA公式サイト
  2. 会社概要・事業所・発電所(新しいタブで開きます) JERA公式サイト