概要
送配電・電力機器は、GXの見えにくい土台となる領域です。この領域では、地域の送電網・配電網を運営する事業者、変圧器や直流送電の設備をつくる電機メーカー、送電用の電線や海底ケーブルをつくる電線メーカーを扱います。再生可能エネルギーの適地は需要地から離れていることが多く、発電所を増やすには送電網の増強が欠かせないことが、この領域の構造の特徴です。いま、再生可能エネルギーの拡大に加えて、データセンターの電力需要の増加が重なり、変圧器や送電の設備は世界的に供給が追いつかない状態になっています。
含むもの
- 送電網・配電網の運営(送配電事業)
- 変圧器・開閉装置・直流送電(HVDC)などの送変電機器
- 送電用の電線・海底ケーブル
含まないもの
- 発電所そのもの(01 再生可能エネルギー発電で扱う)
- 蓄電池(03 蓄電池で扱う)
- 工場や建物の中で使う電気機器(05 電動化・省エネで扱う)
構造と主要企業
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01
送配電事業者
地域の送電網・配電網を運営し、電気を安定して届ける。国内では大手電力会社のグループの送配電会社が担う。
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02
送変電機器・直流送電
変圧器や開閉装置、長距離・海底の送電に使う直流送電(HVDC)の設備をつくり、送電網に納める。
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03
電線・ケーブル
送電用の電線や地中ケーブル、洋上風力と陸をつなぐ海底ケーブルを製造・敷設する。
コミュニケーションの課題と視点
この領域の競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。
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01送配電事業者・大規模開発の事業者
受注しても、届けられるかが問われる
背景
変圧器や直流送電の設備は世界的に需要が急増し、受注から納入までの期間が長くなっている。
想定される課題
技術や価格の優位を訴求しても、顧客の関心は「計画どおりの時期に納入できるか」に移っている。納期の不安が選定を左右する。
視点
生産能力の増強の計画、納入の実績、長期の枠組み契約の形を示し、計画を立てやすい相手であることを伝える。
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02電気の利用者・生活者
送電網の投資が、料金の負担としてだけ伝わる
背景
送電網の増強には大きな費用がかかり、その一部は電気料金を通じて利用者が負担する。
想定される課題
再生可能エネルギーを増やすための投資が、電気料金の値上げの理由としてだけ受け取られ、必要性への理解が進みにくい。
視点
送電網の増強が停電の防止、災害への備え、再生可能エネルギーの拡大にどうつながるかを、地域の具体例で示す。
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03投資家
地味なインフラが、成長の事業に変わった
背景
送電網と電力機器の需要の増加を受け、電機メーカーや電線メーカーの電力の事業が業績を支えるようになっている。
想定される課題
これまで成熟した事業と見られてきたため、需要の構造の変化や、利益率の改善の持続性が十分に伝わっていない可能性がある。
視点
受注残、地域別の需要、データセンター向けの比率などを開示し、一時的な特需ではない構造の変化として説明する。
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04採用候補者(電気・電力系の技術者)
電力の技術者が、足りなくなる
背景
送電網の増強と設備の生産の拡大が同時に進み、電力系統や高電圧の機器に詳しい技術者の需要が高まっている。
想定される課題
電力の仕事は「古い、地味」という印象を持たれやすく、学生の関心がITなどに流れやすい。
視点
再生可能エネルギーやデータセンターを支える仕事として、社会への影響と技術の新しさを伝える。現場の技術者の仕事を具体的に見せる。
競合・提携・出資の関係
提携1件
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直流開閉所を共同開発[1]
三菱電機とSiemens Energyは、2024年1月の直流開閉所の共同開発契約にもとづき、多端子の直流送電に向けた直流開閉所・直流遮断器の要件定義の契約を結んだ。
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この領域の用語
- 系統(電力系統)
- 発電所から送電網・配電網を通って利用者まで電気を届ける仕組み全体。
- HVDC(高圧直流送電)
- 電気を直流にして送る方式。長距離や海底の送電で、損失を小さくできる。
- 連系線
- 地域の送電網どうしをつなぐ送電線。地域をまたいで電気を融通するために使う。
- 系統接続(つなぎ込み)
- 発電所を送電網につなぐこと。送電網の空きが足りないと、接続までに長い時間がかかる。
- 変圧器
- 電気の電圧を上げ下げする機器。送電網の要となる設備で、いま世界的に不足している。