概要

総合建設は、発注者から工事を元請けとして受注し、多くの専門工事会社を束ねて建物やインフラを完成させる市場セグメントです。売上高が1兆円を超える大手5社(スーパーゼネコン)を頂点に、準大手・中堅が続き、その下に多層の下請けの構造が広がっています。都心の再開発や工場・データセンターの建設で受注は高い水準にある一方、資材の高騰と人手不足で採算の管理が難しくなっています。2024年からの時間外労働の上限規制も重なり、受注の選別、M&A(企業の合併・買収)による再編、施工の自動化への投資が進んでいます。

含むもの

  • 大手・準大手のゼネコン
  • 土木・海洋土木に強い建設会社
  • マンションの施工に特化した建設会社
  • インフラの運営を組み合わせる建設会社

含まないもの

  • 戸建住宅のメーカー(02 住宅で扱う)
  • 電気・空調などの設備工事(03 設備工事で扱う)
  • 建設機械(自動車・機械で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    スーパーゼネコン

    超高層ビル・大規模なインフラなどを手がける大手5社。研究所を持ち、技術開発や海外の事業も広く展開する。

    鹿島建設、大林組、清水建設、大成建設、竹中工務店

  2. 02

    準大手・専門型のゼネコン

    マンション・海洋土木・医療施設など、得意な分野に強みを持つ建設会社。

    長谷工コーポレーション、戸田建設、東洋建設

  3. 03

    建設とインフラ運営の複合型

    建設の請負に加え、空港・道路などのインフラの運営権を持ち、運営の収益と組み合わせる。

    インフロニア・ホールディングス

大手は施工の量よりも技術と採算を重視して受注を選び、準大手は得意な分野への集中や再編で生き残りを図る。請け負うだけでなく、開発やインフラの運営で収益を得る形も広がっている。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01採用候補者(学生・技術者)

    「きつい現場」のイメージが、技術の仕事を隠している

    背景

    建設業は担い手の高齢化が進み、若い人の入職が少ない。一方で、デジタルの設計データ(BIM)や施工の自動化など、仕事の中身は変わりつつある。

    想定される課題

    長時間労働や危険な作業の印象が先に立ち、技術やデジタルの仕事を志す人の選択肢に入らない。各社の違いも伝わりにくい。

    視点

    現場の働き方の変化を、休日の数や自動化の事例など具体的な数字で示す。手がけた建物やインフラを通じて、社会に残る仕事の手応えを伝える。

  2. 02発注者(不動産会社・製造業・自治体)

    工期と費用の見通しを、どう信頼してもらうか

    背景

    資材の高騰と人手不足で、工事の費用と工期が読みにくくなっている。発注しても受けてもらえない工事も出ている。

    想定される課題

    見積もりの上昇や工期の延長が、一方的な条件の押し付けと受け取られると、発注者との関係が損なわれる。

    視点

    費用の内訳と、価格の変動を分け合う契約の考え方を早い段階で示す。設計の段階から関わり、工期と費用を一緒に詰める進め方を提案する。

  3. 03投資家

    受注の多さが、利益に結びつかない

    背景

    受注残高は高い水準にあるが、過去に安く受けた工事の採算の悪化が業績を押し下げることがある。

    想定される課題

    受注の量だけで評価されると、採算の悪化が起きるたびに信頼が揺らぐ。選んで受ける方針が成長の鈍化と受け取られることもある。

    視点

    受注時の採算の基準と、価格の変動への備えを開示する。開発・運営など請負以外の収益の育ち方を合わせて示す。

  4. 04協力会社(専門工事会社)

    選ばれる元請けであり続ける

    背景

    専門工事会社も人手が足りず、条件のよい元請けを選ぶようになっている。働き方の規制は下請けの会社にも及ぶ。

    想定される課題

    協力会社の確保ができないと、受注しても施工できない。元請けの方針が現場まで伝わらないと、規制への対応も進まない。

    視点

    適正な工期と支払いの条件、現場の働き方の改善を、協力会社と共有する方針として明示する。協力会社の担い手の育成を一緒に支える。

  5. 05社会・地域

    工事の安全と品質への信頼

    背景

    建設の事故や施工の不具合は、建物を使う人や周辺の住民の安全に直結し、大きく報道される。

    想定される課題

    技術の先進性を発信していても、事故や不具合が起きると会社全体の信頼が揺らぐ。

    視点

    安全と品質の管理の仕組みを平時から開示する。問題が起きたときに原因と再発の防止策を説明する手順を整えておく。

競合・提携・出資の関係

  • グループ1件
    • 大成建設→東洋建設

      TOBで子会社化[1]

      大成建設は東洋建設に対する公開買付けを終え、2025年9月30日付で東洋建設を連結子会社にすると発表した。

この市場セグメントの用語

ゼネコン
General Contractor。工事を元請けとして受注し、専門工事会社を束ねて建物やインフラを完成させる総合建設会社。
スーパーゼネコン
鹿島建設・大林組・清水建設・大成建設・竹中工務店の大手5社を指す呼び方。
BIM
Building Information Modeling。建物を立体のデジタルデータで設計し、部材や工程の情報も一緒に管理する手法。
時間外労働の上限規制
2024年4月から建設業にも適用された、残業時間の上限の規制。工期の設定や人の確保に影響している。
受注残高
受注したもののまだ売上になっていない工事の金額。先の売上の見通しを示す。

出典

  1. 東洋建設株式会社(証券コード:1890)に対する公開買付けの結果及び子会社の異動(特定子会社の異動)に関するお知らせ(新しいタブで開きます) 大成建設プレスリリース公開日 2025.09.25