概要

家電・AV機器は、生活者が毎日使う電気製品をつくる市場セグメントです。テレビやスマートフォンでは、米国・韓国・中国のメーカーが規模で先行し、日本企業の多くはブランドを生かした高価格帯への絞り込みや、事業の売却・提携を選んできました。一方、エアコンなどの空調機器は、日本企業が世界で強い分野です。製造は受託するEMSに委ね、ソフトウェアやサービスで差をつける動きが広がっています。

含むもの

  • テレビ・オーディオ・スマートフォンなどのデジタル機器
  • 冷蔵庫・洗濯機・エアコンなどの白物家電と空調機器
  • 電子機器の製造を受託するEMS

含まないもの

  • カメラ・事務機(精密機器・光学で扱う)
  • ゲーム機(メディア・エンタメ業界のゲームで扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    世界で規模を持つメーカー

    スマートフォンやテレビ、家電を世界で大量に販売する。OSやサービスまで自社で持つ企業もある。

    Apple、サムスン電子、LGエレクトロニクス

  2. 02

    日本の総合家電・AVメーカー

    映像・音響・白物家電などで、ブランドを生かした製品を展開する。

    ソニーグループ、パナソニックホールディングス、シャープ

  3. 03

    空調機器に強いメーカー

    家庭用・業務用のエアコンなど、空調の分野で世界に事業を広げる。

    ダイキン工業、三菱電機

  4. 04

    製造を受託するEMS

    ブランドを持つメーカーから、電子機器の製造を大量に受託する。

    鴻海精密工業(フォックスコン)

ブランドを持つメーカーと、製造を担うEMSの分業が進んでいる。日本企業は、空調や高価格帯の映像・音響など、強みのある分野に事業を絞り込んできた。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01生活者(購入を検討する人)

    機能の多さより、暮らしの変化で選ばれる

    背景

    製品の機能はどのメーカーも高い水準になり、店頭やECでは価格と仕様の比較で選ばれやすい。

    想定される課題

    仕様の違いを並べても、価格の差を納得してもらいにくい。

    視点

    使う場面ごとに、暮らしがどう変わるかを示す。長く使えることや修理・サポートの手厚さを、価格の理由として伝える。

  2. 02家電量販店・EC事業者

    店頭とECで、ブランドの見え方をそろえる

    背景

    家電の購入はECの比重が高まり、比較サイトやレビューが選択に影響する。

    想定される課題

    販売の場が分かれるほど、価格や説明がばらつき、ブランドの価値が伝わりにくい。

    視点

    販路ごとに使える製品情報や動画を整え、比較の軸を自社から示す。購入後のサポートまで含めた体験を一貫させる。

  3. 03投資家

    撤退と集中の先にある成長を示す

    背景

    日本の家電メーカーは、テレビやパソコンなどで事業の縮小や売却、海外企業との提携を重ねてきた。

    想定される課題

    縮小の歴史が先に思い出され、残した事業の成長性が評価されにくい。

    視点

    残した事業の収益性と、サービスや部品など周辺の事業との組み合わせを数字で示す。

  4. 04社会

    製品を長く使い、資源を循環させる要請に応える

    背景

    家電リサイクル法による回収や、修理する権利をめぐる議論など、製品を長く使い資源を循環させる要請が強まっている。

    想定される課題

    新製品の訴求ばかりが目立つと、買い替えを促すだけの企業と受け取られる。

    視点

    修理の体制、部品の保有期間、回収と再資源化の実績を開示する。長く使える設計を、ブランドの価値として語る。

競合・提携・出資の関係

この市場セグメントの用語

白物家電
冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど、家事や生活を支える家電。テレビなどの黒物家電と対になる言葉。
EMS
Electronics Manufacturing Service。他社ブランドの電子機器の製造を受託する事業。
ODM
製造に加えて、製品の設計まで受託する方式。
家電リサイクル法
エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の回収と再資源化を、メーカーと小売に求める法律。

出典

  1. 株主構成(新しいタブで開きます) シャープ公式サイト