概要
銀行は、預金を集めて企業や個人に貸し出し、送金・決済の基盤を担う市場セグメントです。三つのメガバンクグループは、銀行の下に信託・証券・カード・リースなどの会社を抱え、グループ全体で企業と個人の取引を広く押さえています。地方では地域の銀行が再編を重ね、ネットでは流通や通信の企業が設立した銀行が口座を増やしてきました。いま、マイナス金利の終わりで預金と貸し出しの利ざやが改善に向かう一方、預金を集める競争が再び強まり、スマートフォンでの日常の接点を誰が握るかが問われています。
含むもの
- メガバンクグループ
- 信託銀行
- 地方銀行グループ
- ネット銀行・異業種が設立した銀行
含まないもの
- 証券会社(02 証券・資産運用で扱う)
- クレジットカード・コード決済(04 決済・フィンテックで扱う)
構造と主要企業
-
01
メガバンクグループ
銀行・信託・証券・カード・リースを一つのグループに持ち、大企業から個人まで幅広く取引する。
-
02
国内の大手銀行グループ
個人と中小企業の取引や、信託の業務、全国の郵便局の窓口など、特定の強みを持つ大手。
-
03
地方銀行グループ
地域の企業と個人を主な顧客とし、経営の統合で規模を広げる。
-
04
ネット銀行・異業種の銀行
店舗を持たずにスマートフォンで取引を完結させる銀行や、コンビニのATMを基盤とする銀行。
コミュニケーションの課題と視点
この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。
-
01個人の顧客(とくに若い世代)
「メインの口座」に選ばれる理由
背景
給与の受け取り・支払い・資産運用が、スマートフォンのアプリの中で完結するようになった。ネット銀行や決済アプリのポイントが選ぶ理由になっている。
想定される課題
店舗と信用の大きさだけでは、日常の使いやすさで選ぶ若い世代に響かない。複数のアプリやブランドが並び、何を使えばよいかが分かりにくい。
視点
銀行・カード・証券をまとめた一つの入り口を示し、使うほど得になる仕組みを具体的に伝える。安全と相談のしやすさを、ネットの企業との違いとして打ち出す。
-
02中小企業の経営者
貸すだけの銀行から、経営の相談相手へ
背景
事業の承継や人手不足、デジタル化など、中小企業の経営の課題が多様になっている。金利の上昇で借り入れの負担も意識され始めた。
想定される課題
融資の条件の比較だけになると、銀行ごとの違いが伝わらない。相談の窓口としての価値が知られていない。
視点
事業の承継・M&A・デジタル化の支援を、地域の企業の事例で示す。融資以外で役に立った経験を積み重ね、選ばれる理由にする。
-
03投資家
金利の上昇の恩恵だけで評価されない
背景
マイナス金利の終わりで、預金と貸し出しの利ざやの改善が業績を押し上げている。株主還元の拡大も続いている。
想定される課題
金利という外部の要因で利益が増えても、経営の力とは受け取られにくい。海外の事業や提携の成果が見えにくい。
視点
金利の影響と、手数料・海外・提携による利益の伸びを分けて示す。資本の使い方と還元の方針を、数字で一貫して語る。
-
04社会
インフラとしての信頼を守る
背景
銀行のシステムの障害や不正な送金・詐欺の被害は、社会の生活に直接の影響を与える。
想定される課題
新しいサービスの発信が多くても、障害や被害への対応が遅れると信頼が大きく損なわれる。
視点
システムの安定と不正の防止への投資を平時から開示する。被害を防ぐための呼びかけを、顧客に分かりやすく続ける。
競合・提携・出資の関係
出資1件
-
資本業務提携(主要株主に)[1]
みずほ銀行と楽天銀行は戦略的な資本業務提携を結び、みずほ銀行が楽天銀行の議決権の10.52%を持つ主要株主になる見込みと発表した。
-
この市場セグメントの用語
- メガバンク
- 三菱UFJ・三井住友・みずほの三つの大手銀行グループの呼び方。銀行を中心に、信託・証券・カードなどを傘下に持つ。
- 利ざや
- 貸し出しの金利と預金の金利の差。銀行の基本的な収益の源になる。
- マイナス金利の解除
- 日本銀行が2024年に終えた、民間の銀行の預け金の一部に負の金利をかける政策。銀行の収益の環境が変わるきっかけになった。
- 金融持株会社
- 銀行・証券・保険などの金融の会社を子会社として束ねる親会社。