概要

証券・資産運用は、個人や機関投資家の売買を仲介し、企業の資金調達を支え、個人の資産を増やす手助けをする市場セグメントです。店舗と営業の担当者を持つ大手の証券会社が企業との取引と富裕層の相談に強みを持つ一方、個人の売買ではネット証券が手数料の引き下げで口座を大きく増やしてきました。2024年に始まった新NISAで投資を始める人が増え、口座の獲得の競争はメガバンクや通信・ネットの企業との提携を巻き込んで激しくなっています。売買の手数料から、預かった資産の残高に応じた手数料へと収益の形も移りつつあります。

含むもの

  • 対面の大手証券会社
  • ネット証券
  • ロボアドバイザー(自動の資産運用)
  • 証券取引所

含まないもの

  • 銀行の預金・融資(01 銀行で扱う)
  • 保険会社の資産運用(03 保険で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    対面の大手証券

    営業の担当者による相談と、企業の資金調達やM&Aの助言を強みとする大手。

    野村ホールディングス、大和証券グループ本社

  2. 02

    ネット証券

    ネットで売買と資産運用を完結させ、手数料の安さとポイントなどの特典で口座を集める。

    SBIホールディングス、楽天証券、マネックスグループ、松井証券

  3. 03

    ロボアドバイザー

    利用者の目標に合わせて、資産の配分と売買を自動で行う運用サービス。

    ウェルスナビ

  4. 04

    取引所

    株式などの売買の場を運営し、上場の審査や市場の規則を定める。

    日本取引所グループ

対面の大手は相談と企業の取引、ネット証券は手数料と使いやすさで競ってきた。新NISAで口座の獲得が過熱し、ネット証券とメガバンク・通信の企業の資本の結びつきが、競争の単位になりつつある。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01投資を始めたばかりの個人

    手数料ゼロの先で、何が違うのか

    背景

    大手のネット証券は株式の売買の手数料を無料にし、NISAの口座では多くの会社のサービスが似通ってきた。

    想定される課題

    価格の違いがなくなると、ポイントの特典の比較だけで選ばれ、続けて使う理由が育たない。

    視点

    投資を続けるための情報や相談、資産の状況の見える化など、長く付き合う価値を示す。初心者のつまずきに寄り添う発信を続ける。

  2. 02富裕層・退職を迎える世代

    相談の価値を、手数料の高さとどう結びつけるか

    背景

    対面の証券会社は、売買の手数料から預かった資産の残高に応じた報酬へと収益の形を移している。

    想定される課題

    相談の担当者が自社の商品を売る人と見られると、勧められる商品への不信が生まれる。

    視点

    顧客の資産全体の計画から始める相談の進め方と、報酬の仕組みを分かりやすく開示する。

  3. 03投資家

    市況に左右される業績の見せ方

    背景

    売買の手数料や企業の資金調達の仕事は、株式市場の活況に大きく左右される。

    想定される課題

    市況がよいときの好業績が、実力の伸びと受け取られない。

    視点

    預かり資産の残高や、継続して入る手数料の比率など、市況に左右されにくい収益の伸びを示す。

  4. 04社会

    「貯蓄から投資へ」を担う信頼

    背景

    国は家計の資産を投資に向ける政策を進め、金融の知識を広める取り組みも始まっている。投資の詐欺の被害も増えている。

    想定される課題

    投資を勧める側として、リスクの説明が足りないと受け取られると、業界全体の信頼が損なわれる。

    視点

    長期・分散の考え方や、詐欺への注意を、中立の情報として届ける。顧客の利益を優先する方針を具体的に示す。

競合・提携・出資の関係

この市場セグメントの用語

新NISA
2024年に始まった少額投資の非課税の制度。非課税で投資できる期間が無期限になり、投資の枠も広がった。
ネット証券
店舗を持たず、ネットで株式・投資信託などの売買を受け付ける証券会社。
ロボアドバイザー
利用者の質問への回答をもとに、資産の配分と売買・調整を自動で行う資産運用のサービス。
預かり資産
証券会社が顧客から預かっている株式・投資信託・現金などの総額。残高に応じた手数料の土台になる。

出典

  1. 株式会社三菱UFJ銀行によるウェルスナビ株式会社(証券コード:7342)の株券等に対する公開買付けの結果に関するお知らせ(新しいタブで開きます) 三菱UFJ銀行プレスリリース公開日 2025.01.21
  2. SMBCグループとSBIグループによる包括的資本業務提携に関する基本合意及び三井住友フィナンシャルグループによるSBIホールディングスの第三者割当増資の引受けについて(新しいタブで開きます) 三井住友フィナンシャルグループプレスリリース公開日 2022.06.23
  3. 楽天証券株式会社の株式追加譲渡完了及び連結子会社からの配当金受領に関するお知らせ(新しいタブで開きます) 楽天グループプレスリリース公開日 2023.12.15