概要

ガラス・セメントは、原料を高温の窯で焼いてつくる無機の素材を扱う市場セグメントです。ガラスは、建物や自動車の窓に使う板ガラスから、ディスプレイや電子部品・半導体向けの特殊ガラスまで用途が広く、セメントは建設工事の量に需要が連動します。どちらも大量のエネルギーを使い、とくにセメントは原料の石灰石からもCO2が出るため、排出の削減が事業の存続にかかわる課題になっています。いま、国内の建設需要の伸び悩みと燃料費の上昇を受けて、値上げや生産体制の見直しが進むとともに、廃棄物を原料や燃料に使う資源循環の役割にも注目が集まっています。

含むもの

  • 建築・自動車用の板ガラス
  • ディスプレイ・電子部品向けの特殊ガラス
  • セメントと関連する建設資材

含まないもの

  • 半導体向けのマスクブランクスなど個別の材料の詳細(半導体テーマの領域で扱う)
  • 建設工事(建設・不動産で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    ガラスメーカー

    建築・自動車用の板ガラスと、ディスプレイや電子部品向けの特殊ガラスをつくる。

    AGC、日本電気硝子、セントラル硝子

  2. 02

    セメントメーカー

    石灰石を焼いてセメントをつくり、生コンクリートの会社や建設会社に供給する。

    太平洋セメント、住友大阪セメント、UBE、三菱マテリアル

ガラスは、成長分野の特殊ガラスと成熟した板ガラスで、収益の性格が大きく異なる。セメントは国内の大手数社に集約され、素材メーカーどうしの合弁による再編も進んできた。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01セメント工場のある地域の住民・自治体

    廃棄物を受け入れる工場の役割が知られていない

    背景

    セメント工場は、ほかの産業の廃棄物や焼却灰、災害廃棄物を、原料や燃料として受け入れている。

    想定される課題

    資源循環の役割が知られず、排出の多い工場という印象だけが残りやすい。

    視点

    受け入れた廃棄物の量と種類、地域の処理への貢献を数字で示し、資源循環を担う産業として語る。

  2. 02投資家

    排出削減の費用を、誰が負担するのか

    背景

    セメントは原料からもCO2が出るため、燃料の転換だけでは排出を減らしきれない。CO2を回収して使う技術の開発が進む。

    想定される課題

    削減の費用が大きく、技術の実用化の時期も不確かなため、将来の収益への懸念につながる。

    視点

    削減の段階ごとの技術・投資額・時期を示し、価格への転嫁や国の支援の前提も含めて説明する。

  3. 03ディスプレイ・電子部品・半導体の顧客企業

    窓ガラスの会社と見られ、先端の素材が伝わらない

    背景

    大手のガラスメーカーは、ディスプレイ用のガラスや電子部品・半導体向けの材料を育ててきた。

    想定される課題

    社名から建築・自動車のガラスの会社と見られ、先端の分野での技術が顧客や学生に伝わりにくい。

    視点

    先端の分野の製品と採用の事例を独立した事業として見せ、ガラスの技術という共通の土台を説明する。

  4. 04生コンクリートの会社・建設会社

    続く値上げへの理解

    背景

    燃料費や物流費の上昇を受けて、セメントの値上げが繰り返されてきた。

    想定される課題

    価格の改定が続くと、顧客との関係が価格の交渉に偏りやすい。

    視点

    費用の構成と、供給を続けるための設備・物流の維持の必要性を、根拠とともに説明する。

競合・提携・出資の関係

  • 提携1件
    • UBE⇄三菱マテリアル

      セメント事業の合弁(UBE三菱セメント)[1]

      UBE三菱セメントは、三菱マテリアルとUBEが50%ずつ出資してセメント事業を営む会社である。

この市場セグメントの用語

フロート法
溶かしたガラスを溶けた金属の上に浮かべて、平らな板ガラスをつくる方法。
特殊ガラス
ディスプレイ用の薄いガラスや電子部品用のガラスなど、特定の性能を持たせたガラス。
クリンカ
石灰石などを高温で焼いてできる、セメントの中間製品。焼く工程でCO2が多く出る。
混合セメント
高炉スラグなどを混ぜて、クリンカの使用量とCO2の排出を減らしたセメント。
CCUS
排出されたCO2を回収し、利用したり地下に貯留したりする技術の総称。

出典

  1. 会社概要(新しいタブで開きます) UBE三菱セメント公式サイト