概要

再生可能エネルギーは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどで電気をつくり、販売する市場セグメントです。決まった価格で電気を買い取る制度(FIT)で太陽光が急速に広がった後、市場の価格に上乗せする制度(FIP)や、企業と長期で電気を売買する契約へと、収益の仕組みが移りつつあります。担い手は、再エネを専業とする開発事業者と、電源の脱炭素化を進める大手の電力・ガス会社で、洋上風力のような大型の案件では、両者が国内外の企業と連合を組んで入札に臨むのが一般的です。いま、資材費や金利の上昇で一部の洋上風力の計画が見直される一方、企業の再エネの需要は強く、地域との合意づくりと採算の確保が事業の成否を分けています。

含むもの

  • 再エネの発電所の開発・運営
  • 大手電力・ガス会社などの再エネの事業
  • 再エネの電気を企業に長期で売る契約

含まないもの

  • 風車・太陽光パネルなど設備の製造の詳細(GXテーマの再生可能エネルギー発電で扱う)
  • 送配電網(電力で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    再エネ専業の開発事業者

    再エネの発電所の開発・運営を本業とする会社。国内外で案件を積み上げる。

    レノバ、オーステッド、ネクステラ・エナジー

  2. 02

    電力・ガス会社の再エネ事業

    大手の電力・ガス会社が、洋上風力などの大型の再エネの開発に取り組む。

    JERA、電源開発(J-POWER)、関西電力、東北電力、東京ガス

開発事業者と電力・ガス会社は、案件ごとに連合を組み、ときに入札で競う。資本提携で両者が結びつく例もあり、設備は海外のメーカーへの依存が大きい。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01再エネを求める法人の需要家(調達・財務の担当者)

    長期契約の価値と負担を伝える

    背景

    企業が発電所から長期で電気を買う契約が増えている。

    想定される課題

    契約の期間が長く、価格や制度の変化のリスクを需要家が判断しにくい。

    視点

    価格の見通し、リスクの分担、排出削減への効果を、需要家の調達・財務の担当者が判断できる形で示す。

  2. 02発電所の立地地域の住民・漁業者

    地域に受け入れられる開発

    背景

    太陽光や風力の開発では、景観・自然・漁業への影響をめぐって、地域との調整が長くなることがある。

    想定される課題

    地域への説明が足りないと、反対の運動や条例による規制につながる。

    視点

    計画の早い段階から地域と対話し、漁業との共生や地域への利益の還元を、具体的な仕組みとして示す。

  3. 03投資家

    計画の見直しが続く中での信頼

    背景

    洋上風力では、資材費や金利の上昇を受けて、国内外で計画の撤退や見直しが相次いだ。

    想定される課題

    計画の変更が続くと、成長の見通し全体への信頼が揺らぐ。

    視点

    案件ごとの前提の条件と見直しの判断の基準を示し、事業全体の収益の見通しを更新し続ける。

  4. 04共同事業者・国内のサプライヤー

    国内に供給網を育てられるか

    背景

    風車などの主要な設備は海外のメーカーが中心で、国内の企業は部品・建設・保守での参入を探っている。

    想定される課題

    案件の規模と時期が読めないと、国内の企業が設備投資に踏み切れない。

    視点

    案件の計画と調達の方針を共有し、建設や保守で国内の企業が参加できる機会を具体的に示す。

競合・提携・出資の関係

  • 提携2件
    • JERA⇄電源開発(J-POWER)

      秋田沖の洋上風力の連合[1]

      JERA・電源開発・伊藤忠商事・東北電力の連合が、秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖の洋上風力の事業者に選ばれた。

    • JERA⇄東北電力

      青森沖の洋上風力の連合[2]

      JERA・グリーンパワーインベストメント・東北電力の連合が、青森県沖日本海(南側)の洋上風力の事業者に選ばれた。

  • 出資1件
    • 東京ガス→レノバ

      出資・資本業務提携[3]

      東京ガスはレノバと資本業務提携を結び、第三者割当増資を引き受けて議決権の約13%を持つ株主となった。

この市場セグメントの用語

FIP制度
再エネの電気を市場で売り、市場の価格に一定の上乗せ(プレミアム)を受け取る制度。
コーポレートPPA
企業が発電事業者から、再エネの電気を長期の契約で直接買う仕組み。
系統接続
発電所を送配電網につなぐこと。送電網の空き容量が、再エネの開発の制約になる。
非化石証書
CO2を出さない電源でつくった電気の「環境価値」を、電気と切り離して取引する証書。
促進区域
国が洋上風力の発電事業者を公募で選ぶために指定する海域。

出典

  1. 「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖」、「新潟県村上市及び胎内市沖」、「長崎県西海市江島沖」における洋上風力発電事業者の選定について(新しいタブで開きます) 国土交通省その他公開日 2023.12.13
  2. 「青森県沖日本海(南側)」、「山形県遊佐町沖」における洋上風力発電事業者の選定結果等について(新しいタブで開きます) 国土交通省その他公開日 2024.12.24
  3. レノバとの資本業務提携契約の締結と第三者割当増資の引き受けについて(新しいタブで開きます) 東京ガスプレスリリース公開日 2024.04.01