概要

乳製品は、酪農家から集めた生乳を原料に、牛乳、ヨーグルト、チーズ、バター、粉ミルクなどをつくる市場セグメントです。乳と乳製品の成分や製造の方法は、食品衛生法にもとづく省令で細かく定められており、品質と衛生の管理が事業の土台になっています。

生乳は毎日生産され、保存がききにくいため、季節によって需要との間に差が生まれます。牛乳の需要が落ちる時期には、バターや脱脂粉乳など保存のきく製品に回して調整します。乳業メーカーは、酪農家や生産者団体とともに、国内の生乳の生産と消費を支える役割を担っています。

牛乳の消費が伸び悩む一方、健康への機能をうたうヨーグルトや乳酸菌飲料、たんぱく質を手軽にとれる商品が伸びています。乳児向けの粉ミルクや液体ミルクは、品質への信頼が特に求められる分野です。飼料の価格の上昇による酪農家の経営の厳しさを受けて、国産の生乳をどう守るかも業界の大きな論点になっています。

含むもの

  • 牛乳・加工乳・乳飲料
  • ヨーグルト・乳酸菌飲料
  • チーズ・バター・脱脂粉乳
  • 粉ミルク・液体ミルクなど乳児向けの乳製品

含まないもの

構造と主要企業

  1. 01

    総合乳業の大手

    牛乳からヨーグルト、チーズ、バター、粉ミルクまで幅広くつくり、研究に裏づけられたブランドで機能性の商品も展開する。

    明治ホールディングス、森永乳業、雪印メグミルク

  2. 02

    ヨーグルト・乳酸菌飲料

    独自の乳酸菌などの研究をもとに、健康への機能を打ち出す商品を育てる。宅配や海外での販売に強みを持つ企業もある。

    ヤクルト本社、江崎グリコ

  3. 03

    地域・専門の乳業

    地元の生乳を使った牛乳やヨーグルト、デザートなどに強みを持ち、地域のブランドとして親しまれる。

    協同乳業、オハヨー乳業、小岩井乳業

  4. 04

    乳児向けの乳製品

    粉ミルクや液体ミルク、離乳食など、乳児の栄養を支える商品をつくる。

    雪印ビーンスターク、アサヒグループ食品

乳業は、酪農家が生産した生乳を生産者団体を通じて集め、牛乳や乳製品に加工する。大手は牛乳からチーズ・粉ミルクまで幅広く持ち、地域の乳業は地元の生乳を使った牛乳やヨーグルトに強みを持つ。機能性を打ち出すヨーグルトや乳酸菌飲料は、ブランドと研究の力で差がつきやすい。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01生活者

    健康への機能を正しく伝える

    背景

    乳酸菌やたんぱく質など、健康への機能をうたう商品が増えている。

    想定される課題

    表示できる範囲に制約があり、似た訴求の商品が並ぶと違いが伝わりにくい。

    視点

    研究の根拠と表示の規制に沿って、毎日の食生活のなかでの取り入れ方を具体的に提案する。

  2. 02酪農家・生産者団体

    国産の生乳をともに守る

    背景

    飼料の価格の上昇などで、酪農家の経営は厳しくなっている。

    想定される課題

    乳価の交渉や生産の調整の場面で、メーカーと生産者の利害が対立して見えやすい。

    視点

    生乳の調達の考え方や酪農家の支援の取り組みを示し、国産の生乳を使い続ける姿勢を伝える。

  3. 03乳児の保護者

    赤ちゃんのミルクへの信頼

    背景

    粉ミルクや液体ミルクは、乳児の栄養を支える大切な食品である。

    想定される課題

    品質や安全に少しでも疑問が生じると、ブランド全体の信頼を大きく損なう。

    視点

    品質の管理の仕組みや研究の内容を平時から開示し、災害への備えなどの使い方も伝える。

  4. 04投資家

    牛乳以外で稼ぐ力を示す

    背景

    牛乳は価格の競争になりやすく、生乳の価格や飼料の価格の影響を受ける。

    想定される課題

    収益が生乳の価格の変動に左右されると見られると、成長性が評価されにくい。

    視点

    機能性ヨーグルト、栄養食品、海外などの成長分野の売上と利益を分けて示す。

  5. 05社会

    生乳を余らせないための取り組み

    背景

    生乳は需要が落ちる時期に余りやすく、廃棄の懸念が報じられることもある。

    想定される課題

    生乳の需給を調整する仕組みが知られておらず、業界の取り組みが見えにくい。

    視点

    消費を広げる呼びかけや、保存のきく製品への加工などの取り組みを、生産者とともに伝える。

競合・提携・出資の関係

出典で裏付けられた関係は、まだ登録されていません。

この市場セグメントの用語

生乳
牛から搾ったままの、加工していない乳。牛乳や乳製品の原料になる。
乳等省令
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令。牛乳や乳製品の種類ごとの成分や、製造・保存の方法の基準を定める。
指定生乳生産者団体
酪農家から生乳を集め、乳業メーカーへの販売をまとめて行う生産者団体。
脱脂粉乳
生乳から脂肪分を除いて粉にしたもの。保存がきき、生乳の需給の調整にも使われる。
乳児用液体ミルク
そのまま飲ませられる液状の乳児用ミルク。省令の改正で国内での製造・販売が可能になった。

出典

  1. 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について(生食発0808第2号)(新しいタブで開きます) 厚生労働省その他公開日 2018.08.08