概要

暗号資産・Web3は、ビットコインなどの暗号資産の売買の場を提供し、顧客の資産を預かって管理する事業と、ブロックチェーンを使った新しい金融の仕組みからなる市場セグメントです。日本では、暗号資産の交換や管理を行う事業者は資金決済法にもとづいて金融庁・財務局の登録を受ける必要があり、業界の自主規制団体も設けられています。

国内の事業者は、創業期からの独立系の取引所に加え、ネット証券やネット銀行を持つ金融グループ、フリマアプリや通信などのネット企業が設立した取引サービスへと広がりました。各社は、取り扱う暗号資産の種類、取引の手数料、アプリの使いやすさ、自社のポイントや決済との連携で利用者を集めています。海外では世界の多くの国で取引所を運営する大手の事業者があり、日本の市場に参入する例もあります。

過去に起きた暗号資産の不正な流出をきっかけに、顧客の資産を分けて管理することや、インターネットから切り離した環境での保管などのルールが整えられてきました。いま、暗号資産の制度の見直しが議論されるなか、ステーブルコイン、不動産などを裏づけにしたデジタル証券の広がりによって、事業の領域は投機の場から金融の基盤へと広がろうとしています。

含むもの

  • 暗号資産の取引所・販売所の運営
  • 暗号資産の保管・管理
  • 金融グループ・ネット企業が営む暗号資産の取引サービス
  • 海外の大手暗号資産取引所
  • ブロックチェーンを使ったデジタル証券(セキュリティトークン)の発行・販売

含まないもの

構造と主要企業

  1. 01

    国内の暗号資産交換業者

    暗号資産の取引所・販売所を主な事業とし、取り扱う銘柄の多さやアプリの使いやすさ、安全な管理の体制を強みにする。

    ビットフライヤーホールディングス、コインチェック、ビットバンク、GMOコイン、ビットトレード、Custodiem

  2. 02

    金融・ネットのグループが営む取引サービス

    証券・銀行・フリマアプリ・電機などの既存の顧客の基盤を生かし、ポイントや決済、ほかの金融サービスと組み合わせて暗号資産の取引を提供する。

    SBIホールディングス、SBI VCトレード、マネックスグループ、楽天ウォレット、メルコイン、S.BLOX

  3. 03

    海外の大手暗号資産取引所

    世界の多くの国で取引所や保管のサービスを提供し、規模と取り扱う銘柄の多さを強みにする。日本では現地の法人を通じて登録を受けて事業を行う。

    コインベース、バイナンス、バイナンスジャパン、Kraken(Payward)、OSL Japan

暗号資産の取引は、事業者が自ら売り手・買い手となる販売所と、利用者どうしの売買を仲介する取引所の二つの形で提供される。取引の手数料に加え、販売所の売りと買いの価格の差が主な収益になるため、暗号資産の相場の動きと取引の量が業績を大きく左右する。デジタル証券は、不動産会社や証券会社がブロックチェーンを使って発行する新しい形の金融商品として、隣接する領域で広がっている。

そのほかの企業

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01はじめて暗号資産に触れる個人

    怖さを、正しい理解に変える

    背景

    暗号資産は価格の変動が大きく、詐欺や不正な流出の報道も多い。一方で、少額から始められる資産として関心を持つ人もいる。

    想定される課題

    値上がりの期待だけを強調すると、損失が出たときに不信を招く。リスクの説明が不十分だと、規制の上でも問題になる。

    視点

    価格の変動のリスク、資産の管理の方法、登録を受けた事業者を選ぶ大切さを、分かりやすく繰り返し伝える。少額で始める方法や、長期で考える使い方を具体的に示す。

  2. 02金融当局・業界団体

    安全な管理の体制を、平時から示す

    背景

    暗号資産の交換業者は登録制で、顧客の資産を分けて管理するなどの規制がある。制度は見直しが続いている。

    想定される課題

    不正な流出や不適切な取引が一度起きると、業界全体の信頼と規制の議論に大きな影響が出る。

    視点

    資産の保管の方法、システムの安全対策、内部の管理の体制を平時から開示する。業界団体の活動に参加し、ルールづくりに協力する姿勢を示す。

  3. 03事業会社・金融機関

    ブロックチェーンを、業務の基盤として使ってもらう

    背景

    ステーブルコインやデジタル証券、ポイントとの連携など、事業会社や金融機関がブロックチェーンを使う場面が広がっている。

    想定される課題

    暗号資産の投機の印象が強いと、事業会社は自社の業務に取り入れることをためらう。

    視点

    決済の効率化や新しい資金調達など、ブロックチェーンを使った具体的な業務の改善の事例を示す。規制への対応と安全の体制を、提携の前提として明確に伝える。

  4. 04投資家

    相場に左右されない収益の基盤を示す

    背景

    暗号資産の事業者の業績は、相場の上げ下げと取引の量に大きく左右される。

    想定される課題

    相場が良い時期の利益だけで評価されると、相場が冷えたときに事業の価値が大きく下がって見える。

    視点

    利用者の数、預かり資産、保管やステーキングなど取引以外の収益を分けて示す。相場の変動に耐えられる費用の構造と、新しい事業の計画を一貫して語る。

  5. 05社会

    詐欺の被害を防ぐ側に立つ

    背景

    暗号資産を使った投資の詐欺や、話題性を利用した悪質な勧誘の相談が増えている。

    想定される課題

    被害が報じられるたびに、暗号資産そのものが危ないものと受け取られ、正規の事業者の信頼も損なわれる。

    視点

    詐欺の手口や、登録を受けた事業者の確かめ方を、利用者でない人にも届く形で発信する。被害の防止に向けた当局や警察との協力も伝える。

競合・提携・出資の関係

  • グループ1件
    • LINEヤフー→LINE Xenesis

      子会社[3]

      LINE Xenesisは、LINEヤフーの連結子会社で、暗号資産サービス「LINE BITMAX」を2026年6月1日に終了した。

この市場セグメントの用語

暗号資産交換業者
暗号資産の売買や交換、その仲介、顧客の暗号資産の管理などを行う事業者。資金決済法にもとづき、金融庁・財務局の登録が必要になる。
販売所と取引所
販売所は事業者が利用者と直接売買する形、取引所は利用者どうしの売買を事業者が仲介する形。
コールドウォレット
インターネットから切り離した環境で暗号資産を保管する方法。不正な流出を防ぐために使われる。
ステーブルコイン
法定通貨などと価値が連動するように設計された、ブロックチェーン上のデジタルな支払いの手段。
セキュリティトークン(デジタル証券)
不動産などの資産を裏づけに、ブロックチェーンを使って発行・管理する有価証券。

出典

  1. 暗号資産交換業者登録一覧(令和8年9月30日現在)(新しいタブで開きます) 金融庁公的統計
  2. 一般社団法人日本暗号資産等取引業協会 トップページ(新しいタブで開きます) 一般社団法人日本暗号資産等取引業協会公式サイト
  3. LINE Xenesis、「LINE BITMAX」サービス終了に関するお知らせ(新しいタブで開きます) LINEヤフー株式会社プレスリリース公開日 2026.03.03