概要

サーバー・ストレージ・ネットワーク機器は、データセンターや企業の情報システム、通信事業者の通信網を支えるハードウェアをつくる市場セグメントです。計算を担うサーバー、データを保管するストレージ、機器どうしや拠点をつなぐスイッチ・ルーター、携帯電話の基地局や光ファイバーで大量のデータを運ぶ伝送装置などが含まれます。

生成AIの普及で、画像処理半導体を多く載せたAI向けのサーバーと、それを高速でつなぐネットワークの需要が大きく伸びています。米国のデル・テクノロジーズやHPE、スーパー・マイクロ・コンピューターなどがAI向けのサーバーを競い、大量の熱を逃がす液体での冷却や、ラック単位での納入が広がっています。ネットワーク機器ではシスコシステムズなどの米国勢が強く、通信事業者向けではファーウェイなどの中国勢と欧州勢が大きな存在です。

日本では、富士通がサーバーの事業と通信機器の事業をそれぞれ別の会社に分けるなど、事業の再編が進んでいます。各国では、通信網から特定の国の機器を外す動きや、異なるメーカーの機器を組み合わせられるオープンな仕組みの導入が進んでいます。AIの需要の変動と部品の調達、経済安全保障への対応が、各社に共通する課題です。

含むもの

  • 汎用のサーバーとAI向けのサーバー
  • 企業・データセンター向けのストレージ
  • 企業・データセンター向けのスイッチ・ルーターなどのネットワーク機器
  • 通信事業者向けの基地局・光伝送などの通信機器

含まないもの

構造と主要企業

  1. 01

    サーバー・ストレージのメーカー

    企業やクラウド事業者向けに、汎用・AI向けのサーバーとストレージを開発・販売する。保守や運用の支援、データ管理のソフトウェアも組み合わせる。

    デル・テクノロジーズ、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、スーパー・マイクロ・コンピューター、レノボ・グループ、浪潮集団(インスパー)、ネットアップ、Everpure(旧ピュア・ストレージ)、日立ヴァンタラ、エフサステクノロジーズ

  2. 02

    企業・データセンター向けのネットワーク機器

    企業の拠点やデータセンターの中で、機器どうしをつなぐスイッチ・ルーターなどを開発・販売する。

    シスコシステムズ、ジュニパーネットワークス、A10ネットワークス、NECプラットフォームズ

  3. 03

    通信事業者向けの通信機器

    携帯電話の基地局や、光ファイバーで大量のデータを運ぶ伝送装置などを、通信事業者に供給する。

    華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)、1FINITY、国際電気

サーバー・ストレージ・ネットワーク機器のメーカーは、半導体などの部品を調達し、自社で設計した機器を、受託製造の会社も使いながら生産して供給する。AI向けのサーバーでは、半導体メーカーとの関係と、冷却・電力を含めたラック単位での設計力が競争力になる。通信事業者向けの機器は、各国の安全保障の方針によって採用できる会社が変わる点も特徴である。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01データセンター・クラウド事業者の調達・設計の担当者

    AIの計算基盤を早く確実に立ち上げる

    背景

    AI向けのサーバーの需要が急増し、半導体や電力、冷却の設備の確保が事業者の大きな課題になっている。

    想定される課題

    性能の比較だけでは差がつきにくく、納期や設置後の安定した運用への不安が残る。

    視点

    冷却・電力を含めた設計から設置、保守までを一体で支える体制と、納入の実績を具体的に示す。

  2. 02企業の情報システム部門

    クラウドと自社の設備の使い分けを支える

    背景

    クラウドの利用が広がる一方、費用やデータの管理の理由から、自社の設備に一部のシステムを戻す動きもある。

    想定される課題

    機器を売るだけの会社と見られると、システム全体の相談の相手として選ばれにくい。

    視点

    クラウドと自社の設備を組み合わせた運用の事例と、データの保護や費用の見通しを分かりやすく示す。

  3. 03通信事業者

    信頼できる通信網の供給者であることを示す

    背景

    通信網は社会の基盤であり、各国で機器の供給元の安全性が重視されている。

    想定される課題

    性能や価格が優れていても、供給の安定性や安全性への懸念があると採用されにくい。

    視点

    開発・製造の体制や部品の調達先、セキュリティの検証の仕組みを開示し、長期の供給と保守の方針を伝える。

  4. 04地域社会・環境の関係者

    データセンターの電力消費への懸念に応える

    背景

    AI向けのサーバーは消費電力と発熱が大きく、データセンターの電力の使用量の増加が社会の関心を集めている。

    想定される課題

    AIの成長の裏で、エネルギーの消費を増やす産業と見られやすい。

    視点

    機器の電力の効率や液体での冷却による省エネの効果を、具体的な製品と導入の事例で示す。

競合・提携・出資の関係

この市場セグメントの用語

AIサーバー
画像処理半導体(GPU)などのAI向けの半導体を多く載せ、AIの学習や推論に使うサーバー。
ストレージ
データを保管するための装置。フラッシュメモリやハードディスクを使う。
スイッチ・ルーター
ネットワークの中で、データを目的の機器や拠点に届けるための通信機器。
液冷
水などの液体を使って、サーバーの熱を効率よく逃がす冷却の方式。
オープンRAN
携帯電話の基地局の機器を、異なるメーカーの製品で組み合わせられるようにする仕組み。

出典

  1. 1Finity(新しいタブで開きます) 1FINITY公式サイト
  2. Hewlett Packard Enterprise closes acquisition of Juniper Networks (Exhibit 99.1 to Form 8-K)(新しいタブで開きます) Hewlett Packard Enterpriseプレスリリース公開日 2025.07.02