概要

XR・メタバースは、現実の視界を仮想の映像で置き換えるVRや、現実の景色にデジタルの情報を重ねるARの機器と、アバターの姿で人と交流できる仮想空間のサービスを提供する市場セグメントです。機器をつくるメーカーと、その上で動く空間やアプリを運営する会社、企業や自治体の求めに応じてXRのシステムを開発する会社が、分業しながら市場をつくっています。

機器では、Metaが自社のヘッドセットを中心に大きな存在感を持ち、AppleやPico、HTCなどが続きます。ARグラスでは、眼鏡に近い形で日常的に使える製品の開発が進んでいます。仮想空間では、利用者がアバターや空間を自作できるVRChatのように、利用者の創作が魅力を生むサービスが支持を集めており、VRの機器がなくてもパソコンやスマートフォンで参加できるものが増えています。

一方で、機器の価格や重さ、長時間の使いにくさから、利用はゲームや一部の熱心な利用者にとどまりやすい課題があります。そのため、研修・設計の確認・医療の教育・不動産の内見など、業務での活用を広げる動きも進んでいます。生成AIとの組み合わせや、軽いARグラスの普及が、利用の裾野を広げられるかの鍵となっています。

含むもの

  • VR・MRのヘッドセットとARグラス
  • アバターで交流し、利用者が空間をつくれるメタバース
  • ブロックチェーンを使ったメタバース
  • XRを使った業務・教育・医療向けのシステムと開発の受託

含まないもの

  • テレビ・オーディオなどの家電(電機・精密の「家電・AV機器」で扱う)
  • SNS・動画共有のプラットフォーム(SNS・動画プラットフォームで扱う)
  • ゲームの開発・販売(メディア・エンタメの「ゲーム」で扱う)
  • 空間を認識するセンサー・半導体の部品(電機・精密の「電子部品」で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    XRの機器メーカー

    VR・MRのヘッドセットやARグラスを開発・販売する。機器の性能に加え、使えるアプリの数と開発者の集まりが競争力になる。

    Meta、Apple、Pico、HTC、XREAL、マジックリープ、シフトール、FOVE

  2. 02

    メタバースのプラットフォーム

    アバターで交流し、利用者が空間やアイテムをつくれる仮想空間を運営する。アイテムの販売や、利用者どうしの取引の手数料で稼ぐ。

    VRチャット、ネイバーゼット、ザ・サンドボックス、ディセントラランド

  3. 03

    XRの業務活用と開発

    企業・自治体・医療機関などに向けて、XRを使ったシステムやサービスを開発・提供する。研修・内見・遠隔での会議などに使われる。

    monoAI technology、ナーブ、oVice、Kudan、Holoeyes、イマクリエイト

XR・メタバースは、機器・空間のプラットフォーム・業務向けのシステムの三層からなる。機器のメーカーは自社のアプリストアと開発者を囲い込もうとし、プラットフォームは機器を問わず参加できる形で利用者を集めようとする。業務向けでは、機器の価格よりも、研修の時間の短縮や移動の削減などの効果を示せるかが導入を左右する。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01一般の利用者

    「何に使えるのか」を日常の場面で示す

    背景

    XRの機器は新しい体験を提供できる一方、価格が高く、着けて使う時間も限られやすい。

    想定される課題

    技術のすごさだけを伝えても、日常の生活の中で使う理由が伝わらず、購入や継続した利用につながらない。

    視点

    ゲーム・運動・映像の視聴・友人との交流など、具体的な使い方と、着け心地や安全性への配慮を体験の機会とともに伝える。

  2. 02企業・自治体の導入担当者

    業務の効果を数字で説明する

    背景

    研修・設計の確認・観光の案内などで、XRやメタバースを試す企業や自治体が増えている。

    想定される課題

    試しに導入しても効果が測れず、一度きりの話題づくりで終わりやすい。

    視点

    研修の時間や移動の費用の削減など、導入前後の変化を事例で示し、運用を続けるための支援の内容まで説明する。

  3. 03アプリ・空間の開発者とクリエイター

    つくり手が集まる場であることを伝える

    背景

    XRの魅力は、その上で動くアプリや、利用者がつくる空間・アバターの多さに大きく左右される。

    想定される課題

    利用者の数が少ないと、開発者は投資を回収できず、魅力的なアプリが増えない悪循環に陥る。

    視点

    開発の道具や収益の分配、販売の場の仕組みを分かりやすく示し、つくり手が稼げた事例を発信する。

  4. 04保護者・教育関係者

    子どもの安全と健康への配慮を示す

    背景

    仮想空間では、年齢の異なる見知らぬ人どうしが交流するため、トラブルや長時間の利用への懸念がある。

    想定される課題

    安全への配慮が見えないと、仮想空間そのものが危険な場と見られやすい。

    視点

    年齢の制限、保護者の管理機能、通報と対応の仕組み、目や体への影響への配慮を具体的に説明する。

競合・提携・出資の関係

  • 出資1件
    • 大日本印刷→monoAI technology

      出資・資本業務提携[3]

      大日本印刷はmonoAI technologyと2024年5月13日に資本業務提携契約を結び、第三者割当増資を引き受けてXR関連事業で協業している。

この市場セグメントの用語

XR
VR・AR・MRなど、現実と仮想を組み合わせる技術をまとめた呼び方。
VR(仮想現実)
ヘッドセットで視界を覆い、仮想の空間の中にいるような体験をつくる技術。
AR(拡張現実)
現実の景色に、デジタルの映像や情報を重ねて表示する技術。
メタバース
インターネット上に作られ、アバターの姿で人と交流したり活動したりできる仮想空間。
アバター
仮想空間の中で、利用者の分身として動くキャラクター。

出典

  1. VRChat(新しいタブで開きます) VRChat Inc.公式サイト
  2. Meta Quest(新しいタブで開きます) Meta公式サイト
  3. monoAI technology株式会社 有価証券報告書(2025年12月期)(新しいタブで開きます) monoAI technology株式会社有価証券報告書