概要

非鉄金属は、銅・ニッケル・亜鉛・金などの鉄以外の金属を扱う市場セグメントです。鉱山の権益から製錬までを持つ会社、金属を電子材料や電池材料に加工する会社、電線をつくる会社、使用済みの製品から金属を取り出すリサイクルの会社が、資源から製品までの流れをつくっています。製錬の収益が金属の国際価格や為替に左右されやすいため、各社は半導体・電池・データセンター向けの付加価値の高い材料へ事業の重心を移してきました。いま、資源の確保が経済安全保障の課題になり、リサイクルで金属を国内に循環させる役割も重くなっています。

含むもの

  • 鉱山の開発と製錬
  • 銅箔・電池の正極材などの金属材料
  • 電線・ケーブル
  • 使用済みの製品からの金属のリサイクル

含まないもの

  • 鉄鋼(鉄鋼で扱う)
  • 半導体向けのターゲットなど個別の材料の詳細(半導体テーマの領域で扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    資源・製錬

    海外の鉱山の権益を持ち、鉱石から銅・ニッケルなどの金属を取り出す。

    住友金属鉱山、三菱マテリアル、JX金属、三井金属

  2. 02

    機能材料・電池材料

    金属を加工して、電子部品の材料や電池の正極材などにする。

    住友金属鉱山、三井金属、JX金属

  3. 03

    電線・ケーブル

    銅や光ファイバーを使い、電力・通信のケーブルをつくる。

    住友電気工業、古河電気工業

  4. 04

    金属のリサイクル

    使用済みの電子機器や工程くずから、金・銀・銅などを回収する。

    DOWAホールディングス、三菱マテリアル

多くの会社が製錬と材料・加工の両方を持ち、市況で揺れる製錬を、安定して伸びる材料の事業で補う形をとっている。電線の会社は、データセンターや送電網の増強による需要の伸びを受けている。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01投資家

    市況で揺れる会社に見える

    背景

    製錬の利益は、銅やニッケルなどの国際価格と為替で大きく変動する。

    想定される課題

    市況による利益の変動が目立ち、材料の事業の成長が評価に反映されにくい。

    視点

    市況の影響を受ける事業と、材料など安定して伸ばす事業を分けて示し、利益の構成の変化を時系列で見せる。

  2. 02電池・電子部品・自動車の顧客企業

    材料の「出どころ」を問われる

    背景

    電池や電子機器の供給網で、原料の産地や、人権・環境への配慮を確認する動きが強まっている。

    想定される課題

    鉱山から製品までの経路が長く、調達の透明性を示しにくい。

    視点

    鉱山・製錬・リサイクル原料の比率や、追跡の仕組みと第三者の認証を開示する。

  3. 03鉱山・製錬所の周辺の地域社会

    環境への負荷を、どう説明し続けるか

    背景

    鉱山や製錬所は、排水・排ガス・残さを伴う。海外の鉱山では、地域社会との合意が事業を続ける条件になる。

    想定される課題

    一度の問題で長年の信頼が損なわれ、操業の継続にも影響する。

    視点

    環境の監視データと地域との対話の実績を平時から公開し、閉山後まで含めた責任の取り方を示す。

  4. 04採用候補者

    「資源の会社」と「材料の会社」の両面が伝わらない

    背景

    鉱山の開発から先端の電子材料、リサイクルまで、仕事の幅が広い。

    想定される課題

    業界名から地味な素材産業と見られ、海外の資源開発や先端材料の開発という仕事の幅が伝わらない。

    視点

    海外の資源開発と先端材料という二つのキャリアの道を、具体的な仕事の場面で示す。

競合・提携・出資の関係

  • 技術提供1件
    • 住友金属鉱山→トヨタ自動車

      全固体電池の正極材を共同開発[1]

      住友金属鉱山とトヨタは、電気自動車向けの全固体電池に使う正極材の量産に向けて共同開発の契約を結び、住友金属鉱山が供給と量産を担う予定である。

この市場セグメントの用語

製錬
鉱石や原料から不純物を取り除き、純度の高い金属を取り出す工程。
鉱山権益
海外の鉱山などに出資して得る、採れた鉱石の一部を受け取ったり利益を得たりする権利。
正極材
リチウムイオン電池の性能を左右する主要な材料の一つ。ニッケルやコバルトなどの金属を使う。
都市鉱山
使用済みの電子機器などに含まれる金属を、資源として見る考え方。
LME
ロンドン金属取引所。銅やニッケルなどの国際的な価格の目安になる。

出典

  1. 住友金属鉱山とトヨタ、全固体電池用の正極材量産に向けて協業(新しいタブで開きます) トヨタ自動車プレスリリース公開日 2025.10.08