概要
電線・ケーブルは、発電所から家庭までの送電、建物の中の配線、通信網、自動車の配線など、電気と情報を送る「線」をつくる領域です。銅やアルミの線に絶縁の被覆をかけた電線から、超高圧の送電ケーブル、光ファイバーまで製品の幅は広く、多くは目に見えない場所で社会のインフラを支えています。
国内の電線の出荷は、建設・電販(電材の販売店を通じた流通)向けが内需のおよそ半分を占め、ほかに電気機械、自動車、電力、通信の各分野に分かれます。大手の電線メーカーは、電力ケーブル、光ファイバー・通信、自動車向けのワイヤーハーネスなどを組み合わせて事業を構成しており、会社によって重心が大きく異なります。銅などの材料を大量に使うため、材料の価格の動きにも目を配る必要がある産業といえます。
いま大きく変わっているのは、データセンター向けの光ファイバーの需要と、送電網の増強に伴う電力ケーブルの需要です。生成AIの普及でデータセンター内外をつなぐ細くて高密度な光ケーブルが求められ、各社がデータセンター向けの製品に力を入れています。電力の分野でも、再生可能エネルギーの導入や送電網の強化に向けて、高電圧のケーブルや接続部品、敷設工事までを一貫して担える力が問われています。
含むもの
- 建物や設備に使う電線・ケーブル
- 送電用の高電圧ケーブル(地中・海底ケーブルを含む)と接続部品
- 光ファイバー・光ケーブルと光コネクタなどの接続部品
- 自動車用のワイヤーハーネス
- ケーブルの敷設・接続の工事
構造と主要企業
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01
電力ケーブル・送電
送電・配電に使う高電圧の電力ケーブルと、ケーブルをつなぐ接続部品・端末をつくり、敷設工事まで手がける。送電網の増強や再生可能エネルギーの導入が需要を支える。
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02
光ファイバー・通信ケーブル
光ファイバーと光ケーブル、光コネクタや融着接続機などの接続製品をつくる。通信網に加え、データセンター向けの細くて高密度なケーブルが伸びている。
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03
自動車向けワイヤーハーネス
自動車の中で電源や信号を伝える配線(ワイヤーハーネス)と電装品をつくる。車の電動化や電子化に伴い、配線の量や求められる性能が変わりつつある。
そのほかの企業
- OCC 光ファイバーケーブルや海底ケーブルをつくるケーブルメーカー。NECと古河電気工業が出資する。
- TOTOKU 極細の電線や、自動車向けのヒーター線などをつくる電線メーカー。旧東京特殊電線で、SWCCの完全子会社。
- ジェイ・パワーシステムズ 高電圧の電力ケーブルや海底ケーブルの製造・工事を行う会社。住友電気工業の子会社。
- タツタ電線 電線・ケーブルと、電子部品向けの材料やフィルムなどをつくる会社。JX金属グループ。
- フジクラ・ダイヤケーブル 建築・電気工事向けの電線・ケーブルをつくる会社。フジクラと三菱電線工業が出資する。
- 三菱電線工業 電線・ケーブルのほか、ゴム・樹脂の部品などをつくる会社。三菱マテリアルの完全子会社。
- 住電HSTケーブル 建物の配線などに使う電線・ケーブルをつくる会社。住友電気工業が過半数を出資する。
- 住友電装 自動車の電気を各部に届けるワイヤーハーネスを作る、住友電気工業グループの会社。
コミュニケーションの課題と視点
この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。
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01投資家・金融機関
需要の追い風を一時的な好況で終わらせない
背景
データセンター向けの光ファイバーや送電網向けの電力ケーブルの需要が伸び、電線メーカーへの注目が高まっている。一方で、材料の銅の価格の変動や、景気に左右されやすい建設向けの需要も業績に関わる。
想定される課題
需要が伸びている分野だけが注目されると、業績が一時的な好況によるものと見られやすい。生産能力の増強が将来の需要の変化にどう備えているのかも伝わりにくい。
視点
事業ごとの需要の見通し、生産能力の増強の考え方、銅の価格の影響を除いた収益力を分けて示す。技術や品質でなぜ選ばれているのかを、顧客の採用事例とともに説明する。
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02データセンター事業者・通信事業者
線の細さと本数の多さが、施設の設計を変える
背景
データセンターでは大量の光ファイバーを限られた空間に通す必要があり、細くて高密度なケーブルや接続の作業性が重視されている。海外のメーカーとの競争もある。
想定される課題
光ファイバーは仕様で比べられやすく、価格や納期だけの比較になりやすい。施工の手間や設備の省スペース化といった効果が、設計の段階で伝わっていないことがある。
視点
ケーブルの細さや心数が、配線の作業時間や設備の拡張性にどう効くのかを、導入事例と数字で示す。製品単体ではなく、接続部品や施工の支援を含めた提案として伝える。
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03電力会社・建設会社・電材の販売店
工事の現場まで含めて頼れる相手になる
背景
送電網の増強や建物の建設では、ケーブルの供給だけでなく、敷設や接続の工事、納期の確保が求められる。建設向けの電線は、電材の販売店を通じて現場に届くことが多い。
想定される課題
電線は規格品と見られやすく、メーカーごとの違いが現場に伝わりにくい。工事の担い手が不足するなかで、施工のしやすさが十分に評価されていない。
視点
接続部品の扱いやすさや工事の省力化、納期の安定などを、現場の課題に沿って示す。販売店が提案に使える資料や、施工の研修などで関係を深める。
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04学生・採用候補者
見えないインフラをつくる仕事の魅力
背景
電線・ケーブルは社会のインフラを支えているが、製品が目に触れる機会は少ない。データセンターや再生可能エネルギーなどの成長分野とのつながりも、一般にはあまり知られていない。
想定される課題
企業向けの事業が中心のため、学生や技術者に事業の内容や将来性が伝わりにくい。「古い素材産業」という印象を持たれると、採用で不利になる。
視点
生成AIや脱炭素などの身近な話題と結びつけ、製品が社会のどこで使われているのかを具体的に示す。研究開発や海外での仕事など、働く人の姿とともに伝える。
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05地域社会・社会全体
送電網とデジタル社会を支える役割を伝える
背景
再生可能エネルギーの導入や電力の安定供給、通信網の整備には、大量のケーブルとその敷設が欠かせない。銅などの資源の使用や製造時の環境負荷も問われている。
想定される課題
インフラを支える役割が社会に知られていないため、工場の増設や海底ケーブルの敷設などへの理解が得にくい場合がある。
視点
製品がエネルギーや通信の安定にどう役立っているのかを示す。銅のリサイクルや製造時の排出削減など、資源と環境への取り組みも具体的に伝える。
競合・提携・出資の関係
出典で裏付けられた関係は、まだ登録されていません。
この市場セグメントの用語
- ワイヤーハーネス
- 自動車などの中で電源や信号を伝えるために、複数の電線とコネクタを束ねた配線部品。
- 電販(電材販売店)
- 電線や照明・配線器具などの電気材料を、電気工事会社などに販売する商社・販売店。
- 銅建値
- 銅の国内での基準となる価格。日本電線工業会のサイトにも掲載されており、電線の材料費の目安として参照される。
- CVケーブル
- 架橋ポリエチレンで絶縁した電力ケーブル。ビルや工場、送配電に広く使われる。
- 心数(しんすう)
- 1本の光ケーブルに収められた光ファイバーの本数。多いほど一度に多くの情報を送れる。
関連する業界・領域
出典
- 「主要部門別」出荷推移(~2026年8月分実績・9月分速報)(新しいタブで開きます)
- At a glance(新しいタブで開きます)
- 自動車(事業セグメント)(新しいタブで開きます)
- エネルギーインフラ|事業領域(新しいタブで開きます)
- 情報通信ソリューション|事業領域(新しいタブで開きます)
- 事業譲受に関するお知らせ(ビスキャスの地中及び海底送電事業)(新しいタブで開きます)
- 当社グループの経営体制の再編(連結子会社の吸収合併)ならびに商号変更および定款一部変更に関するお知らせ(新しいタブで開きます)
- 事業領域と戦略製品(新しいタブで開きます)
- 新CM放送開始のお知らせ(「データセンタ」篇・「世界最先端」篇)(新しいタブで開きます)
- 連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ(新しいタブで開きます)