概要

M&A支援は、会社や事業を譲りたい経営者と、買って事業を広げたい企業を引き合わせ、取引の成立までを手伝う事業です。中小企業では経営者の高齢化と後継者不足から、親族ではなく第三者に会社を引き継ぐ「事業承継型」のM&Aが増え、成約時の報酬で稼ぐ仲介会社が大きく伸びました。売り手と買い手の双方から報酬を受ける仲介の形には利益相反の懸念があり、国の登録制度やガイドライン、業界団体の自主規制で、手数料の開示や不適切な買い手の排除が求められるようになっています。オンラインのマッチングの場や、上場会社・事業会社による買収提案型の案件も広がり、支援の形は多様になっています。

含むもの

  • 中小・中堅企業のM&A仲介(事業承継型を含む)
  • 売り手または買い手の一方に付くフィナンシャル・アドバイザー(FA)
  • M&Aのマッチングプラットフォーム
  • 企業評価やM&A後の統合(PMI)の支援

含まないもの

  • 企業の株式を買い取って投資するファンド(金融の「証券・資産運用」で扱う)
  • 法務・税務の専門業務(弁護士・税理士の業務)
  • 経営戦略全般のコンサルティング(コンサルティングで扱う)

構造と主要企業

  1. 01

    上場大手の仲介会社

    全国で中小・中堅企業の事業承継と成長のためのM&Aを仲介する。多数のコンサルタントを抱え、成約の件数と規模で競う。

    日本M&Aセンターホールディングス、クオンツ総研ホールディングス、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライクグループ

  2. 02

    地域・中堅の仲介会社

    特定の地域や中小規模の案件に強みを持つ仲介会社。地域の金融機関や会計事務所との関係を案件の入口にする。

    オンデック、名南M&A、インテグループ

  3. 03

    大型案件のFA・助言

    上場企業の買収や事業の再編など大きな案件で、売り手か買い手の一方に付いて価格の算定や交渉を助言する。

    レコフ、野村ホールディングス、大和証券グループ本社、PwC

  4. 04

    M&Aプラットフォーム

    売り手と買い手がオンライン上で案件を探し、直接やり取りできる場を提供する。小規模な事業の承継や、専門家への橋渡しも担う。

    バトンズ、トランビ、M&Aサクシード

仲介会社の報酬は成約時の成功報酬が中心で、案件の数と規模がそのまま売上になる。案件の入口は、地域の金融機関・会計事務所・税理士との提携と、ネットでの集客の二つが大きい。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01会社の譲渡を考える中小企業のオーナー経営者

    「誰の味方か」を説明する

    背景

    仲介会社は売り手と買い手の双方から報酬を受けることが多い。不適切な買い手に会社を譲った事例が社会問題になり、国の登録制度やガイドラインで利益相反の説明が求められている。

    想定される課題

    手数料の体系や買い手の選び方が見えにくく、どの会社に相談しても同じに見えるか、逆に不信感が先に立つ。

    視点

    手数料の計算方法と、仲介とFAの違い、買い手を確認する手順を最初の面談で示す。譲渡後の従業員や取引先の状況まで伝える成約事例で、引き継ぎの質を見せる。

  2. 02買収で成長を狙う事業会社・個人の買い手

    案件の質と情報の確かさを示す

    背景

    プラットフォームの普及で、個人や小さな会社でも買い手になれるようになった。案件の数は増えたが、財務の情報の確かさにはばらつきがある。

    想定される課題

    案件の多さを訴えるほど、情報の確かさや買収後のリスクへの不安が強まる。

    視点

    掲載前の審査、企業評価の手順、買収後の統合(PMI)の支援の有無など、取引の安全を支える仕組みを具体的に示す。

  3. 03地域の金融機関・会計事務所・税理士

    送客の先として選ばれる理由をつくる

    背景

    中小企業の事業承継の相談は、まず取引のある銀行や税理士に寄せられる。仲介会社はこれらと提携して案件を得ており、提携先を広げる競争が続いている。

    想定される課題

    提携先から見ると、どの仲介会社に紹介しても大差がなく、紹介した顧客との関係を損なう不安もある。

    視点

    紹介後の進み具合の共有、顧客との関係を保つ取り決め、提携先にも報酬や知見が還る仕組みを示し、地域で継続して選ばれる関係をつくる。

  4. 04採用候補者(金融機関や営業職からの転職者)

    高い報酬の裏側を率直に伝える

    背景

    仲介会社は成果に応じた高い報酬で人を集め、コンサルタントの人数を増やして成長してきた。成約までの期間は長く、成果の出ない時期もある。

    想定される課題

    報酬の高さだけが伝わると、入社後の厳しさとの差が離職を招き、顧客対応の質にも響く。

    視点

    育成の仕組み、案件の担当の仕方、倫理面の研修や行動の規範を示し、経営者の人生の節目に関わる仕事の重さと手応えを伝える。

  5. 05投資家

    成約件数に頼らない成長の筋道を示す

    背景

    上場する仲介会社の業績は、大型案件の成否やコンサルタントの採用の進み具合で大きく揺れる。規制や業界の自主ルールの強化で、営業のやり方の見直しも求められている。

    想定される課題

    四半期ごとの業績の振れが大きく、事業の持続性が見えにくい。

    視点

    受託の残高、コンサルタント1人あたりの成約、FAやPMI・ファンドなど周辺事業の広がりを指標で示し、規制への対応を信頼の土台として語る。

競合・提携・出資の関係

この市場セグメントの用語

事業承継型M&A
後継者のいない会社を、親族や社員ではなく第三者の会社に譲って事業を続けるためのM&A。
仲介とFA
仲介は売り手と買い手の双方の間に立って取引をまとめる形、FA(フィナンシャル・アドバイザー)はどちらか一方だけに付いて助言する形。
レーマン方式
取引金額の大きさに応じて段階的に料率をかけて成功報酬を計算する、M&Aの手数料の一般的な計算方法。
M&A支援機関登録制度
中小企業庁が設けた、M&Aの仲介会社やFAを登録する制度。登録した機関の支援費用は事業承継・M&Aの補助金の対象になる。
PMI
Post Merger Integrationの略。買収した会社と組織・業務・人事を統合し、買収の効果を出すための取り組み。

出典

  1. 日本M&Aセンターグループのバトンズ、東京証券取引所グロース市場へ新規上場(新しいタブで開きます) 日本M&Aセンターホールディングスプレスリリース公開日 2026.04.21
  2. 企業概要(新しいタブで開きます) M&Aキャピタルパートナーズ公式サイト
  3. M&Aサクシード 公式サイト(新しいタブで開きます) M&Aサクシード公式サイト