概要
住宅設備・建材は、トイレや浴室、キッチンなどの水まわり、給湯器やガス機器、窓やドア、シャッター、外装材、壁紙や床材などの内装材まで、住まいを形づくる製品をつくる領域です。製品の多くは、住宅会社や工務店、リフォーム会社、設備工事会社、建材の販売店などを通じて住まいに届くため、メーカーにとっては、最終的に使う生活者と、製品を選んで取り付ける事業者の両方に選ばれることが重要になります。
メーカーは、水まわり、給湯・ガス機器、窓・ドア・シャッター、内装材など、製品の分野ごとに専門性を持つ会社が多く、それぞれの分野で少数の大手が競っています。水まわりと窓・ドアの両方を幅広く手がける総合メーカーもあります。新築の住宅だけでなく、住み替えずに設備を入れ替えるリフォームや、ビル・商業施設などの非住宅向けも大切な市場です。
国内では新設住宅の着工が減る傾向にあり、各社にとってリフォームや非住宅、海外の市場の重みが増しています。国は窓の断熱改修や高効率給湯器の導入などを補助事業で後押ししており、省エネや断熱の性能を高める製品は、住まいの快適さとあわせて価値を伝える機会になっています。人手不足に対応して、取り付けの手間を減らす製品づくりも課題です。
含むもの
- トイレ・浴室・キッチン・洗面台などの水まわり設備
- 給湯器・ガスコンロ・暖房機器などのガス・給湯機器
- 窓・サッシ・玄関ドア・シャッターなどの開口部の建材
- エクステリア・ビル用外装材
- 壁紙・床材・カーテンなどの内装材
含まないもの
- 住宅そのものの建設・販売(住宅で扱う)
- 設備の取り付けを担う電気・空調・給排水の工事(設備工事で扱う)
- エアコンなどの家電製品(電機・精密の「家電・AV機器」で扱う)
- ホームセンターでの住宅用品の販売(専門店の「ホームセンター・家具」で扱う)
- ガラス・セメントなどの素材(素材の「ガラス・セメント」で扱う)
構造と主要企業
-
01
水まわり設備のメーカー
トイレや浴室、キッチン、洗面台、水栓などをつくる。ショールームや販売店を通じて、生活者とリフォーム会社の双方に提案する。
-
02
給湯・ガス機器のメーカー
給湯器やガスコンロ、暖房機器などをつくる。交換の需要が大きく、省エネ性能の高い給湯器への切り替えが焦点となる。
-
03
窓・ドア・シャッター・外装のメーカー
アルミサッシや玄関ドア、シャッター、ビル用の外装材、エクステリアなどをつくる。断熱や防災の性能が製品の価値を左右する。
-
04
内装材の企画・販売
壁紙や床材、カーテンなどの内装材を企画し、内装工事会社や設計事務所などを通じて販売する。
そのほかの企業
- DAIKEN 床材やドア、壁材などの住宅向け建材をつくる会社。旧社名は大建工業で、伊藤忠商事の子会社。
- YKK AP 住宅やビル向けの窓、サッシ、ドアなどの建材をつくって販売する会社。YKKグループの一員。
- ウッドワン ドアや床材、収納、キッチンなどの木質建材を作って売る会社。ニュージーランドで植林も行う。
- コロナ 石油ストーブなどの暖房機器、エアコン、給湯機器を作る、新潟の住宅設備メーカー。
- サンゴバン ガラスや建材、断熱材などをつくるフランスの素材メーカー。建築や自動車向けに世界で展開する。
- トクラス システムキッチンやシステムバスなど、住まいの水まわり設備をつくって販売する会社。旧社名はヤマハリビングテック。
- ハウステック システムバスやシステムキッチンなどの住宅設備の製造・販売とリフォームを手がける会社。ヤマダグループ。
- パナソニック ハウジングソリューションズ キッチンや照明、建材など、住まいの設備や部材をつくって販売する会社。パナソニックグループの一員。
- パロマ 給湯器やガスコンロなど、ガスを使う住宅設備や調理機器をつくる会社。パロマ・リームホールディングスの子会社。
- パロマ・リームホールディングス 給湯機器や厨房機器、空調機器を手がける、パロマ、リーム、ゼネラルなどの持株会社。
- 稲葉製作所 「イナバ物置」で知られる物置のほか、オフィス用の収納家具やロッカーを作る会社。
- 小松ウオール工業 オフィスなどで使う、動かせる間仕切りやパーティションを作る会社。住宅や商業施設向けの建材も取り扱う。
- 東リ 塩化ビニル製の床材やカーペット、カーテンなど、建物の内装に使う材料をつくって販売する会社。
- 東洋シヤッター 商業施設やビル向けに、シャッターや防火のための設備などをつくり、取り付けまで手がける会社。
- 不二サッシ ビル向けのアルミサッシやカーテンウォールなどの建材をつくり、取り付けまで手がける会社。
コミュニケーションの課題と視点
この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。
-
01リフォームを考える生活者
設備を入れ替える理由を、暮らしの変化で伝える
背景
新設住宅の着工が減るなか、住み替えずに設備を入れ替えるリフォームの重みが増している。国の補助事業も、窓の断熱や高効率給湯器への交換を後押ししている。
想定される課題
設備は壊れるまで使われやすく、入れ替えによる快適さや光熱費の変化が想像されにくい。補助制度があっても、仕組みが分かりにくい。
視点
掃除のしやすさや冬の寒さの改善、光熱費の変化など、暮らしの変化として価値を伝える。ショールームやリフォーム会社と連携し、補助制度の使い方も分かりやすく示す。
-
02住宅会社・工務店・リフォーム会社
選ばれ、取り付けやすい製品であること
背景
製品の多くは、住宅会社や工務店、リフォーム会社などの事業者が選んで取り付ける。現場では職人の不足が続いている。
想定される課題
性能が高くても、取り付けに手間がかかる製品や、納期が読みにくい製品は事業者に選ばれにくい。
視点
施工の手間を減らす工夫や、安定した供給、事業者の営業を支える提案資料や補助制度の情報を示し、事業者にとっての使いやすさを伝える。
-
03投資家・金融機関
新築に頼らない成長の道筋を示す
背景
国内の新設住宅の着工が減るなかで、各社はリフォームや非住宅、海外の市場を伸ばそうとしている。
想定される課題
新築の動きと業績が結び付けて見られると、成長の見通しが評価されにくい。原材料価格の上昇を価格に反映できるかも注目される。
視点
リフォーム・非住宅・海外の売上の構成や、省エネ製品の伸び、価格改定の進み具合を継続して示す。
-
04社会・地域
省エネと防災で、住まいの安全と快適さを支える
背景
家庭の省エネや、豪雨・台風などの災害への備えが社会の課題となっている。断熱性の高い窓や高効率給湯器、止水や防火の製品がその対策に関わる。
想定される課題
住宅設備・建材の役割は目立ちにくく、脱炭素や防災への貢献が社会に伝わりにくい。
視点
製品が家庭のCO2削減や災害時の被害の軽減にどう役立つかを、具体的な数値や事例とともに示す。
競合・提携・出資の関係
出典で裏付けられた関係は、まだ登録されていません。
この市場セグメントの用語
- システムキッチン
- 調理台・コンロ・シンク・収納などを一体にしてつくるキッチン。
- ユニットバス
- 工場でつくった床や壁、浴槽などの部材を、現場で組み立てる浴室。
- サッシ
- 窓ガラスを支える枠。アルミや樹脂、それらを組み合わせた素材でつくられる。
- 高効率給湯器
- 少ないエネルギーでお湯をつくる給湯器。ヒートポンプ式や、排熱を再利用するガス給湯器などがある。
- 工務店
- 地域で住宅の建築やリフォームを請け負う建設会社。