概要

IoT・位置情報は、機器をインターネットにつなぐための通信やデータの基盤と、地図・位置情報のデータを提供する市場セグメントです。工場の設備、物流のトラック、電気・ガスのメーター、店舗の機器などから集めたデータと、人や車がどこにいてどう動いたかのデータを、企業や自治体が使える形にして届けます。

IoTでは、少ない通信量で多くの機器をつなぐ通信と、集めたデータをクラウドに送って管理する基盤が中心になります。日本ではソラコムのように、機器向けの通信からデータの活用までを使いやすいサービスとして提供する会社が育っています。位置情報では、スマートフォンのアプリや携帯電話の基地局のデータから人の流れを推計するサービスが、出店の計画や観光・防災の対策などに使われています。

地図では、測量や航空写真、衛星画像をもとに地図や地理空間のデータをつくる会社と、地図を使ってデータを分析するGISのソフトウェアの会社が、行政や企業の業務を支えています。自動運転や防災、まちづくりのデジタル化で、正確な地図と位置情報の重要性は高まっています。一方で、位置情報は個人のプライバシーに深く関わるため、本人の同意の取り方とデータの匿名化が、事業を続けるうえでの前提になっています。

含むもの

  • IoT向けの通信と、機器のデータを集めて使う基盤
  • スマートフォンや基地局のデータから推計する人の流れ・位置情報のデータ
  • 地図データと、地図・経路検索のサービス
  • 測量・航空写真・衛星画像による地理空間のデータと、GISのソフトウェア

含まないもの

構造と主要企業

  1. 01

    IoTの通信・基盤

    機器向けの通信と、データを集めてクラウドで管理・活用する基盤を提供する。機器の開発から運用までを支えるサービスも組み合わせる。

    ソラコム、アプリックス

  2. 02

    人の流れ・位置情報のデータ

    スマートフォンのアプリや基地局、ビーコンなどのデータから、人の移動や滞在を推計し、企業や自治体に提供する。

    Agoop、ドコモ・インサイトマーケティング、LocationMind、unerry、ビーキャップ

  3. 03

    地図・地理空間のデータとGIS

    測量・航空写真・衛星画像などから地図や地理空間のデータをつくり、地図を使って分析するソフトウェアやサービスを提供する。

    パスコ、国際航業、ジオテクノロジーズ、ESRIジャパン、技研商事インターナショナル、ナビタイムジャパン

IoT・位置情報の事業は、データを集める通信・機器、データを整える基盤、データを使う分析・地図のサービスの三つの段階に分かれる。通信事業者やクラウド事業者と組んで機器をつなぐ会社と、携帯電話会社などの持つデータを加工して売る会社、測量から地図をつくる会社では、顧客も強みも異なる。どの段階でも、行政・防災・物流・小売など特定の分野の業務にどれだけ深く入り込めるかが競争力を左右する。

コミュニケーションの課題と視点

この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。

  1. 01企業・自治体の事業・企画の担当者

    データで何が変わるのかを具体的に示す

    背景

    IoTや人の流れのデータは、出店の計画、観光の対策、設備の点検など幅広い用途に使える。

    想定される課題

    使い道が広い分、自社の課題にどう役立つのかが伝わりにくく、試しの導入で終わりやすい。

    視点

    業種や業務ごとに、データを使って判断や作業がどう変わったかを事例で示し、導入の手順と費用の目安を分かりやすく伝える。

  2. 02機器・サービスの開発者

    早く小さく始められることを伝える

    背景

    IoTの開発では、通信・機器・クラウドの技術を組み合わせる必要があり、最初の試作に手間がかかる。

    想定される課題

    仕組みが複雑に見えると、開発の着手そのものが見送られやすい。

    視点

    少ない費用で試せる料金や、開発の手順書・サンプル、利用者のコミュニティを示し、試作から量産までの道筋を伝える。

  3. 03生活者

    位置情報の扱いへの不安に応える

    背景

    スマートフォンの位置情報は、本人が気づかないうちに集められ、使われているのではないかという不安がある。

    想定される課題

    データの扱いが説明されないと、プライバシーを侵害する事業と見られ、サービスの利用やデータの提供が減る。

    視点

    どのデータを、どのような同意を得て集め、個人が特定されない形にしてから使うのかを、平易な言葉で公開する。

  4. 04行政・防災の関係者

    社会の基盤を支えるデータとしての信頼

    背景

    地図や地理空間のデータは、防災の計画、インフラの管理、まちづくりなどの行政の業務に欠かせない。

    想定される課題

    データの更新の頻度や精度が伝わらないと、重要な判断の根拠として使いにくい。

    視点

    データのつくり方、精度、更新の頻度と、災害時の提供の体制を示し、長く使える基盤であることを伝える。

競合・提携・出資の関係

  • 出資1件
    • KDDI→ソラコム

      その他の関係会社(42.52%)[4]

      KDDIは、2017年にグループ化したソラコムの議決権の42.52%を保有する(2025年3月末時点)。

  • 技術提供1件
    • KDDI→技研商事インターナショナル

      位置情報データの提供[3]

      技研商事インターナショナルは、KDDIのGPS位置情報データを使う人流分析GIS「KDDI Location Analyzer」を提供している。

この市場セグメントの用語

IoT
さまざまな機器をインターネットにつなぎ、データを集めたり遠隔で操作したりする仕組み。
LPWA
少ない電力で、広い範囲の多くの機器をつなぐことができる、IoT向けの通信の方式。
人流データ
スマートフォンや基地局のデータなどから推計した、人の移動や滞在のデータ。
GIS(地理情報システム)
地図の上にさまざまなデータを重ね、分析や表示を行うためのシステム。
匿名加工情報
特定の個人を識別できないように加工し、元に戻せないようにした個人に関する情報。

出典

  1. 企業情報(新しいタブで開きます) 株式会社ソラコム公式サイト
  2. ESRIジャパン(新しいタブで開きます) ESRIジャパン株式会社公式サイト
  3. 位置情報・人流分析GIS KDDI Location Analyzer|技研商事インターナショナル(新しいタブで開きます) 技研商事インターナショナル株式会社公式サイト
  4. 支配株主等に関する事項について(新しいタブで開きます) 株式会社ソラコムプレスリリース公開日 2025.06.24