概要
化粧品・日用品は、スキンケアやメイクアップなどの化粧品と、洗剤・シャンプー・歯みがき・紙おむつなど、毎日の暮らしで使う消費財をつくる領域です。製品の多くは繰り返し買われるため、ブランドの認知と信頼、売場での存在感が事業の土台になります。
同じ領域でも、事業の形はさまざまです。化粧品では、百貨店や専門店のカウンセリングで売るブランド、ドラッグストアなどで手に取って選ばれるブランド、訪問販売や通信販売で直接届けるブランドがあり、販売の方法がブランドの価値と結びついています。洗剤や紙おむつなどの日用品は、卸を通じてドラッグストアやスーパーに並ぶことが多く、売場の棚の確保と販促が重要です。総合的な日用品メーカーが化粧品のブランドを持つなど、両方にまたがる会社もあります。
いまは、国内の人口減少のなかで海外での成長をどう取り込むかが大きな論点です。化粧品では、訪日客の購買や中国市場の動向が業績を左右しやすく、地域ごとの需要の変化に合わせた戦略の見直しが続いています。SNSやECを通じて新しいブランドが生まれやすくなり、成分や環境への配慮など、消費者が商品を選ぶ基準も変わりつつあります。
含むもの
- スキンケア・メイクアップ・ヘアケアなどの化粧品
- 洗剤・シャンプー・歯みがきなどのトイレタリー用品
- 紙おむつ・生理用品などの衛生用品と育児用品
- 防虫剤・殺虫剤・消臭剤などの家庭用品
- 美容室向けのヘアケア・ヘアカラー剤
構造と主要企業
-
01
化粧品・スキンケアのメーカー
スキンケアやメイクアップなどの化粧品を、複数のブランドと販売の方法を組み合わせて展開する。国内に加えて、中国やアジア、欧米などの海外市場も担う。
-
02
洗剤・オーラルケア・家庭用品のメーカー
洗剤やシャンプー、歯みがき、防虫剤・消臭剤などの家庭用品をつくる。ドラッグストアやスーパーの売場で選ばれるよう、ブランドと販促に力を入れる。
-
03
紙おむつ・衛生用品と育児用品
紙おむつや生理用品、大人用の排せつケア用品、哺乳びんなどの育児用品をつくる。赤ちゃん向けに加えて、大人向けの排せつケアやペット用品などにも事業を広げる会社がある。
-
04
美容室向けのヘアケア
シャンプーやヘアカラー剤などを美容室向けにつくり、美容室を通じて消費者に届ける。美容師への教育や技術の支援が、製品と一体の強みになる。
そのほかの企業
- DHC 化粧品や健康食品などを通信販売で届ける会社。2023年にオリックスの傘下に入り、事業を続けている。
- ELCジャパン 米国の化粧品大手エスティ ローダーの日本法人。複数のブランドの化粧品を販売する。
- I-ne ヘアドライヤーなどの美容家電や、ヘアケア製品・化粧品のブランドを展開する日本の会社。
- JNTLコンシューマーヘルス スキンケア商品や衛生用品など、暮らしに近いヘルスケア商品を扱う会社。Kenvueの日本法人。
- P&Gジャパン 洗剤、おむつ、ヘアケアなどの日用品を日本で販売している、P&Gグループの日本の法人。
- アース・ペット アース製薬のグループで、ペット用の虫ケア用品やお手入れ用品、フードなどを扱う会社。
- アイビー化粧品 訪問販売を中心に、スキンケア用品などの化粧品を届ける会社。ブランド「アイビー」を展開している。
- アジュバンホールディングス 美容室向けのヘアケア製品や、スキンケア化粧品を企画・販売する化粧品会社の持株会社。
- アルビオン 自社ブランドの化粧品をつくり、百貨店や専門店などで販売する会社。スキンケアやメイク用品を展開している。
- エスティ ローダー スキンケア・メイクアップ・香水などの高級化粧品を世界で展開する米国の化粧品会社。
- エフエムジー&ミッション 旧エイボン・プロダクツ。訪問・通信販売で化粧品を届ける会社。韓国のLG生活健康グループ。
- カネボウ化粧品 「カネボウ」などのブランドで化粧品をつくり、販売する会社。花王の子会社で、百貨店や専門店で扱われている。
- キンバリー・クラーク ティッシュやおむつなどの家庭用の紙製品を世界で販売する会社。「クリネックス」「ハギーズ」で知られる。
- クラシエ シャンプーなどの日用品、漢方薬を中心とした医薬品、食品などを手がける総合メーカー。
- サンスター 歯みがきなどのオーラルケア用品や健康食品、自転車部品などを世界で手がけるメーカー。
- シーボン エステサロンを運営し、サロンで使うスキンケア化粧品も自社で製造・販売する会社。店舗と通信販売で届けている。
- ジュリーク オーストラリア発のスキンケアブランドを展開する化粧品会社で、ポーラ・オルビスグループに属する。
- セザンヌ化粧品 手ごろな価格のメイクアップ化粧品「セザンヌ」をつくる会社。井田ラボラトリーズのグループ。
- ちふれホールディングス 「ちふれ」ブランドの化粧品をつくり、通信販売や店舗で届ける会社。基礎化粧品やメイク用品を手がける。
- ニベア花王 ニベアブランドのスキンケア商品を日本で販売する会社。クリームやボディケア用品などを展開する。花王が出資している。
- ハーバー研究所 通信販売で、スクワランなどを使った化粧品や健康食品を届ける会社。無添加をうたうスキンケアを展開している。
- ファンケル 無添加の化粧品やサプリメントを、通信販売や直営店で販売する会社。2024年にキリンの子会社になった。
- プレミアアンチエイジング 通信販売で、洗顔料などのスキンケア化粧品を届ける会社。インターネット通販を中心にブランドを展開している。
- プロクター・アンド・ギャンブル 洗剤、紙おむつ、シャンプー、化粧品など、毎日使う日用品を世界中で販売している会社。
- マンダム 男性向けのヘアスタイリング剤やスキンケア用品などをつくる化粧品会社。海外でも男性用化粧品を展開している。
- ユニリーバ 美容・日用品・食品の消費財ブランドを世界各国で多数展開する、英国の大手消費財メーカー。
- ユニリーバ・ジャパン シャンプーや洗剤、食品などの日用品ブランドを日本で展開するユニリーバの日本法人。
- ライオンペット ライオンのグループ会社で、ペットのしつけ用品やトイレ用品、ペットフードなどを作る会社。
- ロレアル 化粧品・ヘアケア・スキンケアのブランドを世界各国で多数展開するフランスの化粧品会社。
- 伊勢半 「KISSME」ブランドなどの化粧品をつくる会社。創業は江戸時代で、紅づくりの老舗としても知られる。
- 井田ラボラトリーズ 手ごろな価格のメイク用品などの化粧品を企画・製造し、販売する会社。「セザンヌ」などのブランドを手がける。
- 大日本除虫菊 蚊取り線香などの家庭用殺虫剤や防虫剤、洗浄剤を「KINCHO」ブランドで手がけるメーカー。
- 日華化学 繊維の加工に使う薬剤や、美容室向けのヘアケア製品、化粧品を手がける化学メーカー。
- 日本メナード化粧品 化粧品や健康食品、インナーウエアなどをつくり、販売する会社。訪問販売を中心に事業を行っている。
- 日本ロレアル フランスの化粧品大手ロレアルの日本法人。複数のブランドの化粧品やヘアケア用品を日本で販売している。
- 白元アース 衣類用の防虫剤や除湿剤、使い捨てカイロなどの家庭用品を手がけるアース製薬の完全子会社。
コミュニケーションの課題と視点
この市場セグメントの競争の構造から、コミュニケーションで想定される課題と、考えるための視点を整理したものです。いずれも Relens の分析・仮説です。
-
01生活者
数あるブランドのなかから選ばれ続ける理由
背景
ドラッグストアやECには多くのブランドが並び、SNSの口コミや比較の情報も手に入りやすい。新しいブランドの参入や、小売企業のプライベートブランドとの競争もある。
想定される課題
価格や話題性だけで選ばれると、ブランドの切り替えが起こりやすい。長年の研究や品質へのこだわりが、売場や広告の短い情報では伝わりにくい。
視点
研究の成果や成分の働きを、使う場面に即したわかりやすい言葉で示す。使い続けることで得られる価値を、体験や口コミと組み合わせて伝え、ブランドへの信頼を積み重ねる。
-
02ドラッグストア・スーパー・卸
売場の限られた棚で選ばれる提案
背景
日用品や化粧品の多くは、卸を通じてドラッグストアやスーパーで売られる。小売企業の再編やプライベートブランドの拡大によって、メーカーと小売の力関係も変わっている。
想定される課題
棚の確保が値引きや販促費の競争になると、メーカーと小売の双方の利益が圧迫される。新商品を出しても、売場で十分に展開されなければ消費者に届かない。
視点
購買データや売場の分析をもとに、カテゴリー全体の売上を伸ばす提案を行う。新商品の価値を売場のスタッフや卸の担当者にも伝え、店頭での説明に生かしてもらう。
-
03投資家・金融機関
海外の成長と地域の変化をどう読み解くか
背景
国内の人口減少を受け、化粧品・日用品の各社は海外での成長を重視している。化粧品では、訪日客の購買や中国市場の動向が業績に大きく影響する。
想定される課題
特定の地域や訪日客の需要に頼ると、外部の環境の変化で業績が大きく振れやすい。地域ごとの戦略の見直しや構造改革の効果が見えにくい。
視点
地域別の売上と利益、主要ブランドの伸び、構造改革の進み具合を継続して示す。どの地域でどのブランドを伸ばすのかを明確にし、成長の道筋を具体的に説明する。
-
04社会全体・地域社会
安全・安心と環境への配慮を形にして示す
背景
化粧品や日用品は肌や口に触れ、毎日使われる。成分の安全性への関心が高く、プラスチック容器や詰め替え、使用後の紙おむつの処理などの環境への配慮も求められている。
想定される課題
安全性や環境への取り組みが抽象的な表現にとどまると、信頼につながりにくい。品質の問題が起きたときには、ブランド全体の信頼が大きく損なわれる。
視点
成分の考え方や品質管理の仕組み、容器の削減やリサイクルの取り組みを、具体的な数字と事例で示す。問題が起きたときに迅速に情報を出す体制も、平時から伝えておく。
-
05学生・採用候補者
身近な商品の裏側にある研究とマーケティング
背景
化粧品・日用品の会社は生活者に身近で知名度が高い一方、研究・生産・マーケティング・海外事業など、仕事の幅は広い。
想定される課題
商品の印象が強いため、会社の仕事が華やかな宣伝や販売の仕事として受け取られやすい。研究や生産、海外での仕事の魅力が伝わりにくい。
視点
ひとつの商品が生まれるまでの研究・開発・生産・販売の流れを、働く人の姿とともに示す。海外市場での事業づくりなど、多様なキャリアの可能性を具体的に伝える。
競合・提携・出資の関係
出典で裏付けられた関係は、まだ登録されていません。
この市場セグメントの用語
- トイレタリー
- 洗剤・シャンプー・歯みがき・石けんなど、体や住まいを清潔に保つための日用品。
- 制度品
- 化粧品メーカーが販売店と契約を結び、店頭のカウンセリングなどを通じて売る化粧品。
- トラベルリテール
- 空港の免税店など、旅行者を対象にした小売。化粧品の重要な販売先の一つ。
- 医薬部外品
- 薬用化粧品や薬用歯みがきなど、効能・効果が認められた成分を一定量含む製品。医薬品と化粧品の中間に位置する。
- インバウンド需要
- 訪日外国人による国内での購買。化粧品の売上に大きく影響する。